鳴神くんは理想の男子? 〜本好きの地味子ですが、陽キャな後輩くんになぜか懐かれています〜


 ヒューっと御影が口笛を吹いた。

「さっすが〜。腕は鈍ってないみたいっすね。どーも、鳴神くん。いえ、鳴神さん、ご無沙汰してまーす」
「……鈴音先輩を、解放しろ」

 聞いたことのない、低い声。

(鳴神くんなのに、鳴神くんじゃない……)

「何もしてないんで大丈夫っすよー。俺たちの話をちゃんと聞いてくれれば、ですがね」
「……」

 無言で睨む彼に向かって御影は続ける。

「アンタが放ったらかしにしたこのチーム、仕方なく俺が引き継いだんスけど、まだそれに納得してない奴らが多いんスよ」

(引き継いだ?)

 ということは、鳴神くんは……。

「だから、ちゃんと決着つけましょ? 【迅雷】創始者で元総長の鳴神斗真さん」

 衝撃が走る。

(鳴神くんが、元『総長』……?)