「さっきも言ったけど、私と鳴神くんはただの先輩と後輩でなんでもないから。こんなことしたって鳴神くんは」
「まぁまぁ、とりあえずアイツが来るまで大人しくしててよ。鈴音センパイ」
「!」
(私の名前を知ってる……?)
ニヤニヤと笑う男たちに取り囲まれて、私は自分の浅はかさを呪った。
――結局、私は手首と足首を結束バンドで縛られ、ボロボロのパイプ椅子に座らされた。
外は土砂降りのようで屋根に当たる雨音が酷く煩い。
ゴロゴロと雷の音まで聞こえてくる。
そんな中、私は男たちを精一杯睨みつけていた。
強がっていないと、今にも足がガクガクと震えてしまいそうだった。
本当は怖くて怖くてたまらない。
これが小説や漫画ならヒーローが助けに来てくれてハッピーエンドだろう。
でも、これは現実で。
ヒーローが……鳴神くんが、もしこの場に来てくれたとしてもこんな大人数相手に敵うはずがない。
彼が大怪我をしてしまう未来しか見えない。



