鳴神くんは理想の男子? 〜本好きの地味子ですが、陽キャな後輩くんになぜか懐かれています〜


 私がひとり自己嫌悪に陥っていると、いづみが窓の方を見て溜息交じりにぼやいた。

「ま~た降りだしたっぽい。早く梅雨明けないかな~」
「……そうだね」

 気持ちが晴れないのは、このどんよりとした天気のせいもあるだろう。
 だからきっと梅雨が明ければすっきりするはずだ。

 梅雨が明ければすぐに夏休み。
 夏休みが終わって新学期になれば、また図書委員のメンバーは変わる。
 鳴神くんはきっと今期でやめるだろう。
 そうすればもう、話す機会も、会う機会も完全になくなる。

 だから、こんな気持ちになるのは、今だけ――。