鳴神くんは理想の男子? 〜本好きの地味子ですが、陽キャな後輩くんになぜか懐かれています〜


 私の机に両肘をついて、いづみはこちらを覗き込むようにして言った。

「鈴音も、もう少し素直になればいいのに」
「素直と言われても……」
「ホントは、ちょっと寂しいんでしょ?」

 優しく言われて、私は黙り込んだ。
 いづみはそれを肯定と取ったみたいだ。

「あんだけ懐かれてたんだもん。寂しくないわけないよ」
「……」

 一気に静かになったなとは思う。
 ただ元に、鳴神くんと出会う前に戻っただけなのに。

 私は、寂しいのだろうか。

(でもこれは、好きとかそういうのじゃなくて……)

 そう、懐いていた犬が急に離れていってしまったみたいな、そういう寂しさで。

(って、私何考えてるの!? 鳴神くんに失礼すぎるよ)