「……鳴神くん、今日当番だっけ」
「そうですよ~、ちぇ、俺は鈴音先輩と一緒のこの日をずっと楽しみにしてたのにな~」
「というか普通に遅刻だし、当番ならちゃんと時間通りに来てくれないと困るから」
「相変わらず厳しい~! でもそんなとこも好きです!」
私は呆れて溜息を吐く。
……折角、物語の余韻に浸っていたところだったのに。
彼はひとつ下の一年生で鳴神斗真くん。
いつも笑っていて、おしゃべりで軽そうな、所謂陽キャな男の子だ。
この春に図書委員会に入ってきて、なぜかいきなり「好きです」と告げられた。
彼氏とか作る気ないからとすぐにお断りしたのだけど、その後も遠慮なく話しかけてくるし隙あらばこうして好意を伝えてくる。
普通、気まずくて距離を置くものではないだろうか。



