私の両親は私が小学生の頃に離婚した。
父が他で女を作ったのだ。
お母さんが毎日泣いていて、それを見ているのが辛くて、その頃から私はリアルの恋愛はクソだと思うようになった。
そうして元々大好きだった物語の中の恋愛に没頭するようになったのだ。
「鈴音先輩! 話ってなんですか? 先輩から呼び出しなんて初めてだから俺ドッキドキなんですけど~!」
翌日の放課後、時間通りに屋上まで来てくれた鳴神くんに私は言う。
「来てくれてありがとう。あのね、鳴神くん、お願いがあるの」
「なんです? 鈴音先輩からのお願いなら俺なんだって聞いちゃいますけど!」
「私のこと好きとか言うの、もうほんと止めて欲しい」
「え?」
彼の笑顔が固まる。
「はっきり言って迷惑なんだ。私、何度も断ってるよね? いい加減、諦めてくれないかな」



