おまめ星大冒険!

しばらく階段をのぼると、辺りの景色が変わっていきました。
 横にあった花はなくなり、雲が敷きつめられていました。
 一番上へつくと、門がありました。
 意を決して、先頭にいるコーンが門を開くと、4匹の目に光がぱっとわき出ました。
 光がおさまると、知らないところに4匹はいました。
 そして、そこには、なんと、おまめがたくさんいたのです!
 コーンは、1匹のおまめに聞いてみました。
「ここってどこだ?」
「え、ここは“地の上”だよ!」
 びっくりしておまめは答えました。
「おまめが何でこんな…まさか天国か?!」
「まさかあ。ここはおまめ星の一部だよ。“しんぴの森”の隣、“楽園の花”から繋がっているところだ。」
 おまめは笑って言いました。
「しんぴの森…!!わたしたちが住んでいたところだ!!」
 ユニが興奮して叫びました。
 叫び声に、他のおまめたちは何事かと、よってきました。
「ということは、ここからしんぴの森は近いの!!」
 お母さんも興奮して言いました。
「そりゃそうだよ。だって隣だからね。」
 おまめが笑って言いました。
 お母さんは、もしかしたら、またあそこへ帰れるかと思うと、ドキドキしました。
「ね、ねえ。今ってもう、人間は来ないのよね!」
 お母さんは思いきって、おまめに質問しました。
「うん。もういないと思ってるからね。」
 おまめが答えました。
「なら、帰れるわ、ユニ、コーン…!!」
 お母さんは2匹を交互に見て言いました。
「でもお母さん、今はわかるさんの家族を探すのが先!」
 ユニがびしっと言いました。
 お母さんははっとして、
「そうだったわね!」
 と言いました。
 申しわけなさそうにしているわかるを見て、お母さんは
「全然いいんですよ!」
 と慌てて言いました。
「それより、住むところはどうしましょう?」
 ユニが言いました。ユニの言葉に3匹ははっとしました。
「たしかにそうですね。さっきのおまめに聞いてみましょう。」
 とわかるが提案しました。
 ココのことを教えてくれたおまめは、すぐに見つかりました。
 事情を説明すると、
「なら、自分の家、いいよ。」
 と言ってくれました。
 おまめの家にすぐつきました。4匹が家へ上がらせてもらうと、ユニとお母さんが
「きゃあっ」
 と叫びました。なんと、床が雲でできていました。わかるやコーンも驚いています。おまめは驚かず、普通の様子で進みます。おまめを先頭にし、ユニ、お母さん、わかる、コーンの順で進んでいきました。ちょっと雲の上を歩いていると、リビングにつきました。にじ形のイスに4匹は座りました。
「ちょっと待ってて、ココの特産品を持ってくるから。」
 おまめはそう言うと、奥へ行ってしまいました。
 残った4匹は、珍しい部屋を見わたしていました。
 床は雲ですが、カベは雲ではなく、コンクリートでできていました。そして、たくさんの絵や物で飾られていました。
「すごい、あの絵とっても素敵。」
 1つの絵画を指してユニが言いました。
「本当ね。誰が描いたんでしょう。」
 お母さんも絵画を見て言いました。
 一方で、コーンは別のことが気になっていました。
 しんぴの森の隣って言ってたけど、全く知らなかったな。
 白い階段もなぜあんなところに…
 そしてここは空なのか?地の上って言ってたもんなあ。
 わかるも、また別のことを考えていました。
 家族を見つけだせるだろうか。もしココにもいなかったら…。
 みんなそれぞれが考えていると、おまめが戻ってきました。手に何やらお盆を持っています。お盆をつくえに置くと、おまめはイスに座りました。
 4匹は、すぐに置かれたお盆に目を移しました。
 そこには、七色に輝く、果物のようなものが乗っていました。匂いは甘いです。
「コレはレインボーの実というんだ。ココにしかない、レアもの。色んな味がして不思議なんだよ。」
 とおまめが教えてくれました。さっそく、4匹は手にとり、かじってみました。すると、不思議なことに、食べるたびに味が違うのです。
「すごい!本当に色んな味がするわ!」
 感心してユニが叫びました。
「おお、すげえ!お土産に貰っていいか!」
 コーンは気に入ったようです。
 お母さんやわかるも、おいしいと食べていました。
 みんな果物を食べおえると、それぞれの部屋に案内されました。ユニは、1匹ではなく、誰かと一緒がいいとリクエストしました。そして、お母さんとユニ、わかるとコーンという感じになりました。コーンはわかるが興味深かったので、ぜひこの機に色々聞いてみたいと思いました。
 部屋は、窓から外が見えて、とてもいい部屋でした。
 部屋のレイアウトがかわいくて、すぐにユニは気に入っていました。
 しばらく部屋で過ごして、ゆっくりしました。夕方になると、雲の色がすこしオレンジがかってるのに、コーンが気がつきました。気になりおまめに聞くと、わからないと言われてしまいました。
 そしておやつを食べ、(ひかりの実というのを食べた)お風呂へ入りました。
 お風呂も、珍しいものだらけで、4匹はコーフンしました。
 そして、夜ごはん。夜ごはんには、にじの実というものを食べました。飲みものは、にじの汁というものを飲みました。
 おまめによると、どちらもにじが原料だそうです。
 にじって食べられるんだ、と4匹は驚きました。
 夜ごはんがおわり、部屋に戻って、のんびり過ごしました。
 そして、寝る支度をし、雲の布団で眠りました。
 雲の布団はふわふわで、とっても気持ちよく、みんなぐっすり眠れました。
 朝、おまめの呼びかけで、みんな目覚めました。
 雲の布団が気持ちよすぎて、ユニは中々離れられませんでした。
 みんなで朝ごはんを食べ、(にじパンを食べた)さっそくわかるの家族を探しへ出かけていきました。
 外に出ると、たくさんのおまめで賑わっていました。
 その様子が、ユニ、コーン、お母さんに、しんぴの森にいた時のことを思い出させました。全然知らないところなのに、不思議と懐かしく思えました。
 しばらく歩いていくと、2匹のおまめがしゃべっていました。
 4匹はそっと会話を聞きました。
「ねえ、知ってる?遠ーい雪山に、おまめが生き残ってるんだって!」
「え、ここ以外で生き残っていたの!?」
「そうみたいなの、噂だけどね。」
 2匹の会話を聞いていた4匹は、もしかしてと思いました。
 フレンドリーなわかるが行きました。
「どうも。今の話、本当ですか?」
「いや、噂よ。っていうか聞いていたのね。」
 1匹のおまめが笑いながら言いました。
「あの、遠ーい雪山ってどこです?」
 わかるは質問してみました。
「さ、詳しく分からないわ。でも、雪山といったら、あそこでしょう。」
「あそこって…?」
「んま、知らなくて?コーオール山のことよ。一番北にある山のことよ。」
「ココからって…遠いですか?」
「えっもしやアナタ、行こうって言うの?」
「はい。」
「そおなの!?ここは南だから、だいぶ遠いわよ!」
「えっ…!!」
「アナタ、方位も分からないし、地図も分からないの?」
「ま、まあ…」
「とりあえず、ココからは遠いわよ。じゃ。」
 そう言うと、おまめはいなくなってしまいました。
 会話をよーく聞いていたコーンは、
「そのコーオール山ってトコに行けばいいんだな。」
 と言いました。よく聞いていなかった2匹は、きょとんとしています。わかるはびっくりしました。
「やっぱりキミは耳がいいね!そう、そこへ行けばいいんだ!」
「どこへ行けばいいのです?」
 お母さんが首をかしげて聞きました。
「聞いてなかったのかよ、母さん。」
 コーンはお母さんをにらんで言いました。
「あたしもよ。」
 ユニがウインクして言ったので、コーンは
「ハア?ふざけてんのか!」
 と叫びました。
「ふざけてなんかないわ、事実だもの。」
 ユニはコーンを挑発するように、言いました。
「ふざけてるだろ、大事なこと聞き逃して、なーにがあたしもよだ!!」
 コーンが大声で言いました。
 お母さんにどこかを教えていたわかると、聞いていたお母さんはびっくりしました。
「まったくもう、ケンカはよしなさいよ。」
 すぐに呆れたカオになったお母さんが言いました。
「だって、たまたま聞き逃しただけなのに、コーンが…!」
「違う!大事なこと聞き逃したのにウインクなんかするからだろ。」
 またまた2匹のケンカがはじまってしまいました。
 お母さんが叱ると、ようやく2匹はケンカをやめました。
「で、どこへ行くのよ、聞いてたコーンさん!」
 ユニがコーンを見ないで言いました。
「コーオール山だぜ、聞き逃したユニさん!」
 コーンもユニを見ないで言いました。
「ふうん、コーオール山ね。へええ…。」
 ユニがぶつくさと独り言を言いました。
「なんだ、教えてやったのに、ありがとうくらい言えよ。」
 コーンがイライラして言いました。
「何よ、命令しちゃって!今言おうとしてたし!」
 フンッとしながらユニが言いました。
 コーンの方を向くと、
「ありがと…。」
 と言いました。
 本当に言ってくれたので、コーンは
「まあ…。」
 と言いました。
 2匹のケンカがちょっとおさまると、4匹はおまめの家へ戻りました。そしてさっきのことをおまめに話すと、そこのことを教えてくれました。
 夜ごはん後、4匹は会議することにしました。
「もう出た方がいいんじゃない。遠いみたいだし、時間かかるわ。早い方がいいでしょ。」
 まずユニが意見を言いました。
「オレもユニと一緒。何かあってからじゃダメだ。行動はすぐに起こさないとな。」
 続いてコーンが言いました。
「でも、遠いのよ。もう少し、準備してからがよくてよ。」
 お母さんも意見を言いました。
 何回も何回も言い合った結果、明日の夕方出ていくことにしました。
 話し合いがおわると、みんな部屋へ戻って、気持ちいい雲のベットで眠りました。
 朝から4匹は準備に取りかかりました。どれくらいかかるか分からないので、食料は多めに持っていくことにしました。
 そして、ユニが気に入った雲布団を、折りたたんで持っていきました。朝ごはんを食べ、お昼ごはんを食べ、あっという間に夕方がやってきました。4匹は準備した持ちものを背負うと、おまめに礼を言いました。
「そういえば、名前言ってなかったね。自分、はれーのっていうよ。」
 はれーのはにっこりして言いました。
 そういえばしていなかったと思い、4匹も名前を言いました。
「じゃあ、気をつけていってらっしゃい。ユニ、コーン、わかる、ユニコーン。」
「ええ、行ってきます、はれーの。」
 お母さんが別れのあいさつをして、4匹は歩きだしました。