おまめ星大冒険!

1週間も経たないうち、7人はなんで・キラリン星へ着いた。
 ロケットから出て、歩いて様子を見ていると、4人はぞっとするばかりだった。加わったメンバーのリンルン、たま、もも、まいなどは元の姿を知らないから平気だった。しかし、なんで・キラリン星はがらりと変わっていた。
 どこにも前4人が住んでいたあとはなかった。それどころかキラリン族もなんで族もト族も、全くいなかった。4人の頭に、もしやもう全員が捕まっているのでは…という恐ろしい考えが浮かんだ。でも進んでも、見わたしても、知らない生き物ばかり。さっきの恐ろしい考えが確信へと変わっていった。
 絶望している4人は、途中から吐き気がしそうだった。
 その様子を見て、リンルンとたまが心配した。
「どうしたの?具合悪そう。長旅で疲れちゃった?」
「どこかで休みますか?」
「え、ええ。そうだ、私の友人の家へ休みに行きましょう。」
 震えた声でおばあちゃんが言った。その提案に他6人は賛成して、さっそく丸ノさんの家へ行くことになった。ところが、丸ノさんの家は絶対ここなのに、ちがう家が建っていた。ためしにドアをたたくと、ネコ星人が出てきた。そして7人を見ると…。「お前たち、ココは悪だんズよ?何をしにきたんだね?捕まりたいのかい?」と、ネコ星人がにらんで言った。「あの…ここはなんで・キラリン星です!アナタたちを、あたしたちは追い出すために来たんです!」勇敢なリンルンはそうさけんだ。
「ほう?もうここはちがうのだよ。しかも追い出すですって?アタシたちの力をナメるんじゃないね!」そうネコ星人は怒鳴ると、7人を外へ追い出した。
「どうしよう…本当に追い出せるのかな…。」急に心配になって、なそでいはか細い声でそうつぶやいた。
「なそでい、何今さら心配してんの!せっかくここまで来たのよ!諦めるなんて許さないから!」なるほどは、なそでいに向かってそう言った。
 その言葉に、なそでいは少し救われた。
「ええ、諦めたら一生恨むわよ。だいじょうぶ、わたしたちならできるわよ!」
 ともるほど。
「なそでい、元のここを知らないけど、もっと素敵なところだと思うの。
 あたしたちも手伝うから、一緒にがんばろう!」
 みんなの励ましを受け、なそでいはすっかり元気になった。
 7人は、再びどうやったら追い出せるか作戦会議して、まずは一番の権力者を探すことにした。頭の賢いたまの提案で、まずは、ネコ星人たちに牢屋へ連れていってもらい、城の入り口まで着いたら、下ろしてもらうことにした。あるネコ星人に見つけてもらい、提案通り城まで運んでくれた。入り口に着くと、7人はすぐにネコ星人から降り、城の中へと入っていった。大きなトビラが閉まると、大きな音を立て、閉まった。
 この音で城に入ったことがバレたようなので、急いで隠れるところを探した。大きな柱に、1人ずつ隠れることにした。
 1分も経たないうち、大勢の足音が迫ってきた。7人はそれぞれ柱にぴったりと隠れた。5分ぐらいして、ようやく大勢の足音は去っていった。そして7人はやっと柱から離れた。「ふう…危ないところだったね!」コソコソ声でなるほどが言った。それからまた7人は、城の中を進んだ。それからは、何度もネコ星人と遭遇し、その度どこかへ隠れるを繰り返した。
 どうしてもムリな時は、力のあるたまにやっつけてもらった。それからネコであるマロネコ姉弟も役に立った。どうやら、ネコ星人はマロネコたちの匂いを好まないらしく、近よってこなかった。そんなことをしながら、だんだんと城のてっぺんまで進んだ。長ーい階段をのぼっていくと、1つの玉座に、ネコ星人が座っていた。7人は息をはあはあさせながら、ネコ星人に近づいた。「おっと、まだ生きのこりがいたのか。おや、他の星のやつまで一緒じゃねぇか。何の用だ?」座っていたネコ星人は立ち上がり、靴のコツコツという音を立て、7人のところへ近づいてきた。勇気をふりしぼって、なるほどが言った。「アンタがここで一番のおエラいさん?よくも、あたしたちの星を、変えてくれたわね!」大声を出したつもりだったが、中々出せなかった。
「おう、そうだ。オレこそが、悪だんズのボス、ニャンさまだ。もうここはお前らの星ではないんだ。分かったら、どっか行け!」
 ニャンの大声が、部屋中に響きわたった。リンルンが勇気を出して言った。
「ニャンだっけ?何でこんなことするの!ここはなんで・キラリン星だよ!何が目的?」
「ニャン“さま”だ!ハッ、何でこんなことするかだって?カンの悪いやつだな!全ての星をオレたちのものにするんだ。そのはじめとして、ここを侵略したワケさ。」ニャンはハッハッハと笑った。まいはどうしてもガマンできなくて、さけんだ。「アナタさっきから何なの!星はみんなのもので、アナタたちだけのものじゃないわ。」
「ハッお前の星も、もうすぐオレらのものにしてやるぜ。星はみんなのもの?そんなワケねーだろ!」とさけんだ。
「そんなワケある!どう考えたって、星はみんなのものよ!アナタの頭の中はとち狂ってるのかしらね!」
 とまいは負けずに、さけび返した。
「あ?オレの頭がとち狂ってる?いい加減にしろ!オレは正しいんだ!」
 そうさけぶと、まいの方に向かってパンチしようとした。
「きゃあっ」まいが悲鳴を上げると、マロネコ姉弟がすぐさま駆けつけた。ニャンは2匹の匂いで、すこし離れた。
「ふんっネコごときがオレに敵うわけねーだろ!」
 そう言うと、ニャンはネコよけスプレーをふりまいた。2匹は耐えられなくなり、離れてしまった。その間に、倒れているまいを、3姉妹は急いで運んだ。ニャンがスプレーをまいている隙に、たまさんはニャンの方へ駆けつけ、スプレーの霧で前が見えなくなったニャンを、うしろからたまさんの体ごとで当たった。ニャンは急いでスプレーを手ではらい、たまさんにやられた背中を()()で回復した。すると、「残念だったな!オレはそんなに弱くねえぜ!」とたまの方を向いてさけんだ。カツンときたたまは、()()で体を大きくした。そして3姉妹も、()()()で、ニャンのところへワープした。
 そしてなるほどは超能力のパンチで、ニャンを2回殴った。そしてなそでいは超能力のビームを、ニャンにくらわせた。一気にだったので、ニャンは避けきれず、全部受けた。ニャンは急いで回復しようとしたが、たまのアタックで、力つきてしまった。そしてとどめに、おばあちゃんのスーパー超能力で、ニャンを仕留めた。
 3姉妹とおばあちゃん、たまは力を全て使い、倒れてしまった。そしてニャンも、倒れた。その様子を、もも、リンルン、まい、マロネコ姉弟は、茫然と眺めた。そして、まいがハッとすると、ニャンのしていたネックレスがはずれているのに気がつき、拾いあげた。そして3姉妹たちが起きあがるのを待ったが、一番最初に起きあがったのは、ニャンだった。「お前ら…よくもこのオレを…!…!」まいの手に持っているネックレスを見て、さけんだ。「オイ、それは、オレの魔力の源なんだぞ!早く返せ!!」まいは、「じゃあアナタが自分の星へ帰り、ここの星の子たちを帰してあげ、ここを元に戻し、もうこんなことしないと約束したらいいわ。」と言った。「は?ジョーダンじゃねえ!やっと手に入れたのに?」
 とニャンは怒鳴った。「じゃあ、コレは返せないわ!」「くそ…なら力づくで取りかえす…っ!」ニャンは、もう力がつきてしまって、動けなかった。「…っ!ぜ、ぜってえ取りかえすか…ら…。」またニャンは倒れこんでしまった。「もうあたしたちの勝ちでいいんだよね?さっきまいちゃんが言ったこと、約束してくれなきゃ、ネックレス持ってかえるよ!」寝ころがっているニャンに、リンルンがにやにやして言った。ニャンは反抗しようとしたが、体は傷だらけ、ネックレスがなくては困るので、約束するしかなかった。「…分かったよ。約束する…。」
「そう?ありがとう!」リンルンたちは顔を輝かせた。「ならもうそれ返せ。約束しただろ。」「いや、まだダメだよ。ちゃーんと全部やってくれたら返す!だって今返したら、わたしたちを魔力で倒すかもしれないじゃない?」心を読まれたニャンは、もう諦めるしかなかった。
 ニャンの傷ついた体を、どうしようかと考えていると、3姉妹が起きあがった。事情を説明し、超能力で治してもらった。大ヘンな超能力をやったあとは倒れてしまうけど、傷を治すくらいの超能力なら、平気だそう。7人と一緒に、ニャンは下の牢屋へ来た。そして、捕まっている子たちは、なそでいたちに気がつくと、一斉に歓声を上げた。7人に見張られながら、ニャンは1つずつ檻を開けていった。みんな口々に喜びを言っていた。次は悪だんズへネコ星人たちを戻す作業。地下にある大きな黒いロケットを地上に出し、全ネコ星人に乗るように伝え、全員が入ったことを確認すると、ロケットは飛んでいった。そこでようやくネックレスを渡され、魔力で元の姿へと戻した。それから本人もロケットに乗り、もうこんなことをしないと誓うと言って、空へと消えていった。
 そこまでして、7人はようやく肩の力を抜いた。そして7人で元の姿の星を見た。もうみんなは自分の家へ戻り、きゃいきゃい楽しそうな声が聞こえてきた。元の姿を知らなかったももたちは、感動したように口々と言った。
「とっても素敵な星…。いつか住みたい!」
「みんな楽しそうでいいわ。元の姿を見れてよかった。」
「本当、キレイなところだね…ずっといたいよ!」
「でも、自分の星も恋しくなっちゃった…!」
「わたしも!」
「あたしも!」
 そういって、7人はしゃべりあった。そのあと、3姉妹の家でパーティーをした。おばあちゃんの手作りのごちそうを、仲間と一緒に食べた。
 そして、今までしてきた冒険や、ニャンのことなど、7人はたくさんしゃべった。
 最後に記念写真を撮って、お別れをした。ももはもも星へ、リンルン&たまはリンルン星へ、まい&マロネコ姉弟は地球へと帰っていった。
 そして3姉妹とおばあちゃんだけが残った。なそでいは、今までしてきた冒険を、ノートへ書いた。もちろん、絵つきで。タイトルは「なそでいとなんで・キラリン星の大冒険」。最後のページに撮った写真を貼って、完成!
 〜おわり〜