おまめ星大冒険!

次の日の朝。3人の姉妹はおばあちゃんの声で目を覚ました。
 まだ空がうすあかるいころ、キラリン市にある異変が起きていた。
 おばあちゃんに、「ねえ、なそでい、何かヘンだと思わない?」と聞かれ、なそでいは「ううん、虫が鳴っていないよね?」と答えた。しかしおばあちゃんは首を横にふり、「もっと大ヘンなことよ!」と言った。
 ヒントを頼むと、おばあちゃんは変わっていると思うところを指さした。
「…キラリンタウン?」自信なさげに、なそでいは言ってみた。
「うん、正解よ!」おばあちゃんはにっこりと笑って、なそでいの頭をなでた。
「キラリンタウンがどうしたの?」と他2人も寄ってきた。
「キラリンタウン、どこかヘンじゃない?」と姉と妹になそでいは聞いてみた。
「どこがとは詳しく分からないけど、何かちがうね!」と姉は納得したよう。しかし妹は…。「えー?分かんない…。」と不満そう。答えをたしかめるため、キラリンタウンへ行こうと姉が提案すると、3人は賛成した。
 そうと決まれば、急いで準備の開始。
 都会へ行くから、4人ともオシャレをした。
 それぞれリュックに必要なものを詰めこんで、背負った。
 キラリンタウンが気になって仕方ないので、何としてでも早く行こうと、朝ごはんはお弁当箱に詰めこんで、食べずに出発。
 キラリンタウンは3姉妹の住んでいる家から、30分で着く。
 3姉妹の住む家は、都会の多いキラリン市の中でも田舎で、ちょっと不便なところにある。のぼり坂や階段をたくさん歩き、ようやく4人はキラリンタウンへと着いた。久しぶりの都会に来て、3姉妹の心が踊った。
 が、やっぱりタウンがどこかヘン。タウンを見わたせる展望台にのぼって、4人はタウン全体を眺めた。しばらくだれもしゃべらず、じーっと眺めていたが、なそでいが突然声を上げた。
「わたし、分かったかも。あそこ!」なそでいのさけび声が、下にまで響いた。
「えっどこどこ?」なるほどは一生懸命探す。他2人も探した。
 そしてようやく4人全員が分かった。「あの時計の絵!わたし、絵がすきだから、すぐに分かっちゃった!」となそでいは嬉しそう。3人もすっきりしてほっとした。
 でも、もるほどには1つの疑問が浮かんだ。
「どうして、絵を変えたのかしらね。」その言葉に、3人はまたもやもやもやしてしまった。
「たしかに、どうしてだろう?別に古くもないし、不評ってわけでもない。
 何か意味があるのかな?」となるほどがもやもやしながらつぶやいた。そのつぶやきで、更にみんなはもやもやしてしまうのであった。
 結局もやもやを残したまま、帰ることになった。こんな気持ちでタウンを回っても全力で楽しめないとみんな思っていたから、おばあちゃんが
「もう帰ろうか。」と言っても何も言わなかった。
 すっきりしないまま、4人は家へと帰ってきた。そして暇つぶしに、テレビを付けてみた。すると…キラリンタウンのことがやっていた。思わず4人は「あっ」と声を出してしまった。あの時計の絵が変わったことがやっていた。そして絵に詳しい人、タウンの人のインタビューで、ちょっぴり4人のもやはなくなった。その人たちの考察はこういうものだった。「きっと気分転換じゃないですか。ずっと同じじゃ、飽きてしまいますからね。」でも4人のもやは全部なくならなかった。「そのことで不満を言う子もいないし、お知らせとかもない…何でだろう?」テレビを見ながら言ったなるほどの言葉に、3人は納得した。「知らせがないというのが1番ね。あの有名なタウンなら、みんなびっくりするだろうに…」ともるほどが言った。
 その言葉に、みんなで納得した。
「でのこれだけじゃ、情報がすくないわ。もっと集めてから考えましょう。」もるほどが付けくわえた。
 3人は納得すると、2つの手段で調べてみることにした。
 1つはインターネットで調べる
 2つはタウンにいる人に聞いてみる
 1つをもるほどとなそでいが担当し、2つをなるほどとおばあちゃんが担当することになった。なるほどとおばあちゃんは再びキラリンタウンへと、歩いていった。家に残った2人は、自分の持っているスマホで検索することにした。
 分かったことがあればメモを取っておくことにした。調べはじめてから30分経ったころ、2人が外から帰ってきた。そして家にいた2人に、メモを見せてくれた。それぞれのメモには2人の字で、同じことが書かれていた。
 ・気分転換
 ・だれかに乗っとられた
 ・別の物になった
 メモを見て、まずなそでいが聞いた。「ねえ、2つ目にある“だれかに乗っとられた”ってどういうこと?」すばやくなるほどが「そのままの意味よ。」と答えた。
 その答えになそでいは納得いかず、「だれに?どうやって?」と質問した。
「まあまあ、今から教えてあげますよ。」とおばあちゃんはなそでいをなだめるように言った。
「どうやらね、キラリンタウンが、別のだれかに支配されているようなの。」
「えっ、支配?一体だれが!?」興奮した様子のなそでいを、
「今から言いますよ。」となだめた。
「まあまだ詳しくは分かっていないんだけど、変わっていることはたしかなの。支配している人物も、分かってないわ。」
 その言葉に、なそでいはがっかりとした。
「なーんだ、分かってないの。」
「でもなそでい、これから分かるかもしれないわ。」と今度はもるほどがなだめた。しばらく考えこんでいたが、突然、大きな声を出した。
「そうだ、わたしのメモも見て!つながりそうなことが、あった気がする!」
 なそでいはさっそく自分のメモを見せた。
 ・キラリンタウンを管理している人が変わった
 ・人口が減った
「本当ね。管理している人が変わったっていうのが、支配されたとつながるかもしれないわ。」とメモを見ていたもるほどが言った。
「でも、前まではだれだったの?」メモを見ていたなるほどが、質問した。
「そこは分からない。」
「前の人は丸園さんっていう女の方だったわよ。」物知りなおばあちゃんは、知っていたようだ。
「へえ、じゃあもう丸園さんはやめちゃったのかな?」となそでい。
「でも何もニュースになってないし…。」となるほど。
 もうすこし詳しく知るため、おばあちゃんの知り合いに会いに行くことになった。
 おばあちゃんの友だちで、キラリンタウンに詳しいんだそう。さっそく3人は行く準備をして、おばあちゃんの友だちの家へ向かった。おばあちゃんの友人、丸ノさんは、キラリン族で、キラリンタウンの側に住んでいるそう。ちょっと前までキラリンタウンで働いていたらしく、タウンに詳しいらしい。
 3姉妹とおばあちゃんは、30分かけてタウンへと着いた。次女のなるほどは体力があったが、他3人は体力があまりないので、タウンで休むことにした。キラリンタウンは、今日も多くの客で賑わっていた。ト族、キラリン族、なんで族…。今日は休みの日だから、より一層混んでいる。ベンチに4人で座った。そして4人はリュックから水筒を取りだし、一口飲んだ。ベンチからはあの時計が見える。やっぱり変わっていた。
 前までは色んな民族が囲んでいる絵だったのに、今は知らない生きものの絵となっている。時計をぼーっと眺めていたなそでいが、突然さけんだ。
「ねえ、もしかして、あそこに描かれている生き物が、支配主じゃない?」
 他3人も時計をよーく見てから、
「絶対そうよ!」
「そうにちがいない!」
 と納得した。時計に描かれているなぞの生き物は、ネコのような形だった。
「ねえ、あれはネコっていう生き物じゃない!?本で見たことあるもの!」と長女のもるほどがさけんだ。2人もそうかもしれないと言った。おばあちゃんも「そうかもしれないわ。」と頷いた。そして休憩をおわらせ、おばあちゃんの友人の家へと再び歩きだした。