おまめ星大冒険!

ある草むらに、3匹のおまめが暮らしていました。
 フェアリータイプで伝説おまめの、ユニコーン系統です。
 お母さんのユニコーン、長女のユニ、長男のコーンです。
 元々はしんぴの森というところに住んでいましたが、わけあって今は草むらにいます。
 長女のユニが、長男のコーンと、草むらをかけ走っていました。
 お母さんは、草むらに聳えたつ、なんで山を眺めていました。弟のコーンとかけ回りながら、ふとユニはしんぴの森のことを思い出しました。木に虹がかかっていて、地面には雲が敷かれていました。ユニたちは、一番奥の洞窟で暮らしていました。その頃は、お父さんの二コーンもいました。他にもたくさんのおまめが暮らしていて、賑やかでした。ですが、ある日から、急に静かになったのです。
 お父さんが外の様子を見に行って、それ以来中々帰ってきませんでした。イヤな予感がし、心配した3匹は、外へとお父さんを探しに行きました。そして久しぶりに外へ出てみると、驚いたことに全くおまめがいません。ますますイヤな予感を感じたお母さんのユニコーンは、もしも自分たちがイヤなことにあっては大ヘンだといい、3匹は家へと戻っていきました。その予感は当たり、ニュースを見ると、人間がおまめを捕らえに来ていると伝えました。その言葉に、子ども2匹は震えました。
「ねえ、お母さん、わたしたち、見つかってしまうんじゃないの?」
震え声で、ユニがお母さんに尋ねました。
「ユニ、きっとだいじょうぶよ。ココは森の奥よ。」
 安心させるようにお母さんは言いましたが、お母さんもすこし震えています。
「もし見つかったとしても、人なんかやっつけられるぜ。このツノも、力も、ボクらにはあるんだから。」
 わざと陽気にコーンが言いました。
 と、その時、家の外から足音が聞こえてきました。
「まずい、人間じゃ…!?」
 とコーンが慌てだしました。
「どうしよう、もう入ってくるわ…!」
 ユニも慌てだしました。
 お母さんは2匹を抱き、急いで裏庭へ出ていきました。
 裏の道を猛スピードで駆け抜けます。だんだん進んでいくにつれ、足音は遠ざかりました。けれど、前からも人間がやってきたのです!不意打ちにあったお母さんは、スピードを落とせず、人間のいる前へ進んでしまいました。人間はにやっと笑うと、3匹に網をかぶせました。絶望を感じていた子2匹は、網の中でぼーっとしていました。しかしお母さんはまだ諦められず、何度もツノで網をつついたり、足で蹴ったりしました。それに気づいた人間は、
「コラ!暴れるな!」
 と怒鳴りました。それでも諦めきれず、お母さんはアタックを続けました。
 でも網は全然びくともしません。お母さんはようやく諦めました。が、やっぱり納得いきません。こんなところで、我が子と共に天国へ逝きたくありません。どうやってココから出ようかと、考えると…。まっさきに、ワザが浮かびました。爆発でもすれば、網から抜け出せるかもしれないわ、すこしばかり自分たちにもダメージを喰らうけど…。
 と思い、さっそくお母さんは自分の力を奮いおこし、爆発を起こしました。すると網は破け、3匹はぶじ出れた!のですが…。
 爆発の勢いで、どこかへ吹きとばされてしまいました。
 そしてしばらくしてから、目を覚ますと、知らない草むらにいたということです。そして、出口も見つからないし、疲れていたので、しばらくここで休もうとしました。…そのしばらくが、まさか1年にもなるなんて、お母さんは思いもよりませんでした。ですが、子2匹はすっかりここを気に入ったので、もっとここにいてもいいかな、とも思いました。
 2匹は気に入りましたが、やっぱり我が家へ帰りたくもありました。そして、お父さんに会いたい、とも思うのでした。
 弟とかけ回るのをやめ、ユニは草むらにちょこんと座りました。
 そして
「今頃、しんぴの森はどうなってるのかしら…。」
 とつぶやきました。そのつぶやきを聞き逃さなかったコーンが、
「きっと何も変わりないさ。」
 と答えました。その後ユニは何も言わず、ただぼーっとしているだけでした。コーンは、なんだよ、せっかく返事してやったのに…、と不服でした。
 2匹はしばらく黙ったまま、草むらに座りこんでいました。
 が、お母さんの
「きゃあ――――っ!!」
 という叫び声で、飛び上がりました。急いで2匹は、お母さんの方へ駆けました。