おまめ星大冒険!

まっすぐワザで飛びつづけていると、目の前に新しい地が見えてきました。フェアの心はわくわくしっぱなしです。
 地図と地形を見てどこかたしかめると、どうやら楽園の花のようです。たくさん咲いている色とりどりの花が、キレイでした。そして、真ん中に、白い階段があるのに気がつきました。
 その階段は目がちかちかするほど真っ白で、空までつづいていました。
 フェアは気になって、その階段の近くへ行ってみました。
 階段は、やはり果てしなくつづいています。
 どこに繋がっているんだろう…?
 フェアは地図を見てみました。
「空の上に、地の上ってところがある。そこに繋がっているっぽいわ。で、おまめ島は南にあるようね…。」
 1匹でフェアはぶつくさと言いました。
 そして、階段が気になりましたが、我慢して島を出ていきました。
 出ると、果てしない海が広がっていました。
 またワザを使って飛びたちました。
 まっすぐ、下の方へと飛んでいきました。

 もう、何日飛んでいるのでしょう。
 見るかぎり、ずうっと海です。
 うきうきだったフェアも、だんだんと退屈になっていきました。
 それに、まだ大人になったばかりですし、しんぴの森の外へ行ったことがなかったのです。体力や疲れ問題が出てきました。どこかで休もうと思っても、海しかありません。ユニコーン族は水タイプではないので、もちろん水中で息することができません。たしか、おばあちゃんのユニコーンはワザで水タイプへ変えられたのですが、フェアはそのワザができませんでした。なので、やっぱり、飛びつづけるしかないようです。
 さらにフェアは、おなかも空いてきました。今もなお、ぐうぐう鳴っています。
 そろそろ、色んなことが重なって、限界を迎えそうでした。
 と、その時、目の前に島が見えてきました。
 一気に、フェアの気持ちは明るくなりました。
 飛ぶスピードを速めて、島へ降りていきました。
 ゆっくり、ゆっくり、慎重に陸へ降りたちました。
 ぶじ、着陸成功しました。フェアは空から地までという、すごい高さからやったことがなかったので、不安でしたが、ぶじできてほっとしました。
 しばらく息を整えました。そして、重たい荷もつを置くと、中から実を取りだしました。そして、口の中へ運びました。食べた瞬間、乾いていた喉もうろわされて、生きかえっていきました。復活すると、フェアは島の探索をすることにしました。たくさんの植物があり、おまめがいっぱいいました。
 しんぴの森では見ない珍しいおまめもいたので、フェアはわくわくしました。
 探索しているうち、看板があることに気がつきました。
 見てみると、「おまめ村」と書いてあります。
 一瞬、もしやココがおまめ島では…!?とフェアは期待していたので、ちょっとがっかりしました。でも、ともかく、生活できるところが見つかってよかったと、ほっとしました。
 寝どころは、1つの木の上にしました。フェアは一番上までのぼると、てっぺんにある枝に座りました。そして、美しい夜景を眺めました。ちょうど満月で、それもまた美しかったです。フェアは、夜景に釘づけになっていました。寝ることも忘れてしまうくらい、美しかったのです。しばらく見ているうち、フェアはだんだんと眠くなっていきました。気がつくと、フェアは夢の中に入っていました。
 朝、まぶしい太陽の光で、フェアは目を覚ましました。
 目を覚ますと、フェアは木の上じゃないことに気がつきました。寝ている時に、落ちてしまったみたいです。今寝ていた床はふかふかの草や花で、またフェアを眠りに誘いこもうとしているようです。慌ててフェアは立ち上がると、荷もつから実と汁を取りだしました。実に汁をたっぷり塗って、ぱくんと食べました。とっても甘くて、フェアはしあわせな気持ちになりました。
 実は、にじの実という実。汁はにじの汁。にじの木からとった、とっても栄養満点の汁です。そのあとににじクッキーを食べると、フェアのおなかは満腹でした。
 また荷もつを持って、島を歩いてみました。
 おまめ村は、本当に小さな村でした。
 小さなおまめの家が、自然の中にぽつんとあるだけです。
 でも、フェアはここに来てよかった、と思いました。
 自然のおかげで、フェアの疲れが浄化されたからです。
 これから行くおまめ島は、こことは対照的でした。
 観光地として有名で、自然なんかすこししかありません。
 もし、そっちへ着いたとしても、きっと疲れが増えてただけだろうな…とフェアは思いました。
 でも、この村に、長居するわけにもいきません。
 何にせよ、フェアはすぐに飽きてしまう性格で、もうここに飽きてきているんですから。
 地図をフェアは取りだして、今はどこかたしかめました。
「あれ、おまめ島って、もうこんなに近いの!」
 フェアがびっくりして叫びました。
 地図では、おまめ村のとなりに、もうおまめ島があるのです。
 そのとなりに、おまめ市がありました。
 そしてこまごました島がいくつもありました。
 ふうんと眺めていたユニは、1つの島に気をとられました。
「なに、ここ“どうくつの島”?ほとんど洞窟じゃないの!」
 その時、うしろから足音が聞こえてきました。
 びっくりして、フェアはうしろを振り向きました。すると、1匹のおまめが立っていました。
「おや、アンタさん、“どうくつの島”へお行くの?」
「え、いえ。そうではないわ…。」
 キョトンとしながらフェアが答えました。
「あら、そうなの?さっき、どうくつの島とか何とか聞こえたけど…。」
「聞いてたのね…。たしかに、言ったわ。でも、あたしが行きたいのは、おまめ島なの!!」
「まあ、そうだったの?」
「で、どこかなあって見てた時、目に入ってね…。」
 おまめは2度頷くと、
「分かるわ。変わった島よねえ。」
 と言いました。
「そういや、そこに伝説があるって聞いたことあるわ。
 たしか、宝みたいな…。」
 フェアはおまめの言葉に、突然わくわくしてきました。
「本当、本当なの!?」
 やっと冒険っぽいのきたわ!とフェアは顔を輝かせました。
「嘘かは分かんないわ。噂よ。」
 呆れたようにおまめが言いました。
 
「おや、アナタは興味がないの?」
「あんまね。どうせ、嘘でしょって思っちゃうわ。」
「……。」
「あっ、そろそろ家へ戻らないと。じゃあね。」
 そう言うとおまめはいなくなってしまいました。
 フェアは、もう村を出発しようと、決心しました。
 荷もつを抱えて、ワザで飛びたちました。
 そしてまた、海の上を渡っていきました。