叶うわけなかったのに

校門をくぐって一番最初に思うことは先生のことで、そんなことを考えてしまう自分が嫌になる。
叶うわけない恋なんかして何が楽しいの？って、友達には言われるけどそんなの自分が一番分かってる。
なのになんで恋なんかしちゃったんだろうか…。毎日そんなことを考えてたら4階なんてあっという間だ。
私たち、1年1組の教室は4階のはじっこにある。そして、私が恋をしてしまった相手､「宮野先生」が担任を持っている1年2組はその隣。
教室に入ったらまず仲良しの友達の｢優菜ちゃん｣の席に行く。話すためっていうのもあるけど本当は校庭に宮野先生がいるか、窓際で確認したいだけっていうのは秘密。
あ……。宮野先生だ…。
宮野先生は体育科の先生で、全学年に保健体育を教えている。そのせいで、2年生にも宮野先生ガチ勢がいるらしい…。まあ、そんなことはまだ全然マシな方なんだが…。なんでかって？そう、宮野先生には彼女がいる。
きっと大学とかで付き合ったんだろう。
信じたくないけどしっかり目撃情報もある。
宮野先生のクラス、1年2組の友達の、｢ゆめちゃん｣が言っていたし、同じく2組の｢さやちゃん｣が、一学期にショッピングモールで見かけたらしい。そんなの信じるしかないじゃないか。
私も宮野先生と同じ年に生まれたかった。そうすれば私にもチャンスがあったかもしれないのに。
最初はただの｢推し｣だった。なんなら入学当初なんて推しですらなかった。
好きだと気づいたのは最近のことで、今から2週間前くらい。ほんとに最近だ。
好きだって思ったのは、2月の初めにあった校外学習。1学年全員で横浜に行った。
電車だった。ひと通り見て、さぁ帰ろう、となっているとき、私たちはホームの近くで他のクラスが来るのを待っていた。その時宮野先生と目が合った。私はびっくりして、癖で片目だけ瞬きをしてしまった。(いわゆるウィンクだ。)そのまではまだ良かった。やば、とは思ったけど、全然気にしていなかった。そして気づいた時には私は宮野先生にウィンクされていた。きっと私のつい出てしまった癖をウィンクだと思って返してくれたのだろう。少し恥ずかしかったが、結果的に良い思い出になった。
そんなこともあって次の日から、余計に宮野先生が好きになってしまった。そして気づいたら好きになってしまっていたという訳だ。
友達にはすごく反対される。私もやめた方がいいと思ってる。ちなみにこれは余談だが、最近宮野先生のお気に入りの生徒に仲間入りできたきがする。笑
でもしょうがないと思う。好きになってしまったんだもの。諦めたくても諦められないって辛い。
毎週毎週土曜日と日曜日が辛くて、早く月曜日になれ！と思っている。