幼なじみは、私だけに甘い番犬

(椰子視点)

 玄希と付き合うようになって、毎日顔を合わせてるけど。
 登下校を一緒にしたり、お昼ご飯を一緒に食べたり、お互いの家を行き来するくらいで、そんなに『彼カノ』らしいことなんてしていない。

 大事にされているのは、何となく分かる。
 だけど、昔から玄希はいつも傍にいるから、彼氏として大事にされているのか。
 それとも、幼なじみとして大事にされているのか、よく分からない。

 そもそも『彼カノ』って、どんな風に接したらいいのかすら分からない。
 漫画や小説の中だと、溺愛されて『好き』だの、『愛してる』だなんて囁くけど。
 私も言った方がいいのかな……。

 グレープフルーツ事件があってから、玄希がいない生活だなんて考えたくなくて。
 ついつい目で追ってしまう。
 いつでも傍にいて欲しくて。
 これが『好き』ということなのかな……?

 玄希を『男の子』だとちゃんと認識しているつもりだけど。
『彼氏』としてなのか、他の男子よりちょっとだけ親近感があるだけなのか。
 自分の心に聞いてみても、いまいちピンとくる答えが出て来ない。

 琴ちゃんは、『失いたくない』と思う時点で『特別』だと言うけど。
 誰だって、知ってる人が急にいなくなるだなんて考えたくないと思うんだよね。
 それが『好き』なのか、『独占欲』なのか。
 恋って複雑で難しい。