幼なじみは、私だけに甘い番犬


 琴ちゃんたちがいるところまで運んだ玄希が、私をそっと下ろした。

「ったく、お前を泣かせていいのは、俺だけなのに」
「っ……」
「もう、俺の傍から離れんな」

 骨ばった玄希の指先がそっと涙を拭う。
 さっき、凄い焦った顔して助けてくれた玄希はもういなくて、怯えている私を安心させるように優しく微笑んでくれている。

 あぁ、この顔、知ってる。
 いつも助けに来てくれた後に見せる、優しい玄希だ。

「あと少しで決着つくから、少しだけここで我慢して」
「……ん」
「そしたら、龍たちと別行動してやっから」
「……ん」
「悪い、待たせた。んじゃあ、再開で!」

 琴ちゃんが心配そうな眼差しを向けて来る。
 龍くんも。
 みんなに迷惑かけちゃった。

「行くよ~~っ」

 町田くんが気を利かせて、ゲームを再開してくれた。
 みんな優しい。

 玄希が私の右手を握ったまま、審判を再開した。

***

「岩場でも行ってみる?」
「うん!」
「喜びすぎ」
「っ……」

 ビーチバレーを見届けた私と玄希は一旦海の家に戻り、水分補給をした。
 その後は海水浴場の端にある岩場付近を散歩することに。