幼なじみは、私だけに甘い番犬

(椰子視点)

「来た来た!」
「玄希、ビーチバレーするんだけど、審判して~」
「えー、やだよ」
「そう言うなって」
「行って来ていいよ。私、パラソルの下でじっとしとくから」
「……んじゃあ、ちょっくら行って来る」

 町田くんに誘われ、玄希はみんなのところに駆けて行った。
 日焼けするのも避けたいけど、それより皆んなとわいわいはしゃぐとか無理。
 極度の人見知りだから、皆んなの輪の中にスッと入れない。

「じゃあ、負けた方がアイス奢るってことで!」
「おおおお!!」
「龍くん、絶対勝つからね!」
「任せとけ」

 距離を取って、眺めるくらいが丁度いい。
 町田くんと須崎(須崎) 友和(ともかず)くんのペアと龍くんと琴ちゃんのペアの対戦らしい。
 琴ちゃん女の子だけど、元バレー部だしね。
 龍くんも運動神経は抜群だから、龍くん琴ちゃんペアの勝ちかな?

 他の子たちは浅瀬でプカプカと浮いていたり、水鉄砲で燥いでいる。
 暫くの間、少し遠巻きに彼らを眺めていると、突然視界に毛深い脚が4本遮るように現れた。

「一人でお留守番?」
「……」
「俺ら、今来たとこなんだけど、一緒に遊ばない?」
「お兄さんが冷たいカキ氷買ってあげるよ」
「……要りません」
「えぇ~、そんな遠慮しなくていいのに~~」

 大学生っぽい男子2人組が私の目の前にしゃがみ込んで、視界を完全に遮った。