幼なじみは、私だけに甘い番犬

(琴乃視点)

 目的地の海水浴場に到着した。
 あまり有名な海水浴場ではないから、家族連れが何組かいる程度で、比較的空いている。
 超穴場スポットらしく、海の家もほぼ貸し切り状態。
 そんな中、男子8名、女子4名で海の家の一角を確保した。
 ちなみに、長谷川の友人・町田くんの親戚の方がやっている海の家らしい。

 
「琴ちゃん、変じゃない?」
「大丈夫!可愛いよ」

 親友の椰子は水着姿に自信が無いらしく、大判のバスタオルで必死に隠そうとしている。
『彼氏』である長谷川は、たぶん胸が小さいとか、そういうことは気にしないんじゃないかな。
 椰子という女の子に骨抜きにされてるから、全てが愛おしいはず。
 じゃなかったら、あんな事件、起こすはずないもの。
 自分の命を犠牲にしてでも、守りたいと思える彼女。

 個人的には長谷川のことは嫌いだけど、椰子の彼氏としては認めてあげることにした。
 だけど、また泣かせるようなことしたら、ただじゃおかないんだから!

「琴ちゃん、触ってもいい?」
「え?……あっ」

 椰子のか細い腕がスッと伸びて来たと思ったら、華奢な手が私の胸を捉えた。

「おっきい」
「普通だよ」
「何カップ?」
「……D」
「ディッ……」

 私の胸を鷲掴みした椰子は、胸に視線を落としたまま固まった。
 そんな椰子の耳元に囁く。

「長谷川に触って貰ったらいいじゃない。すぐに大きくなるから」
「なっ……」

 可愛い。
 すぐ赤くなるところとか、本当に初心すぎて、私が彼氏になりたいくらいだよ。