幼なじみは、私だけに甘い番犬

(椰子視点)

 球技大会前日の昼休み、椰子の教室。
 玄希から『今日の昼飯は別で』というメッセージが届いていた。

「玄希、今日は来ないって」
「別にいんじゃない?彼氏だからって、毎日一緒に食べなくても」
「じゃあ、俺は両手に花を堪能しようかな~」

 相変わらず玄希嫌いの琴乃と、冗談が上手い龍くん。
 玄希がいようがいなかろうが、さして変わらず、いつもと同じように空いている机を寄せて食べるスペースを作る。

「明日の朝は、できるだけ整髪料つけないで登校してね」
「やっぱり変わるものなの?」
「そりゃあ変わるよ。できればシャンプーしてからセットしたいところだけど、さすがにそれは無理だからさ」

 龍くんは1時間前に登校して、希望がある女子のヘアセットをするらしい。
 熱血な野球少年だった龍くんは、今ではお洒落男子に大変身を遂げた。
 地元の高校というのもあって、昔を知っている女子からは、そのギャップが堪らなく萌えるらしい。
 琴ちゃんもその一人ではあるんだけど。

***

 お昼ご飯を食べ終えた頃、突如『倉木さんっ!!』と、男子生徒が声を張り上げながら教室に駆け込んで来た。