幼なじみは、私だけに甘い番犬


 6月上旬、椰子の教室、LHRの時間。
 2週間後に行われる球技大会のための出場競技決めが行われた。

「琴ちゃん、2種目出るの、大丈夫なの?」
「被ったらバレー優先にして貰ったし、何とかなるでしょ」

 運動神経抜群の琴乃は、中学時代にバレー部に所属していたこともあり、バレーボールに出場予定。
 そして、運動が苦手な人が寄せ集まるドッヂボールに、助っ人として参加予定になってしまったようだ。
 運動が苦手な椰子はもちろんドッヂボールに決まった。

「椰子ちゃんはドッヂになれたの?」
「うん!琴ちゃんが速攻で名前書きに行ってくれた」
「そっか、よかったね」
「そんな事より、今年は何でTシャツじゃないの?!」
「分かんねーけど、悪ふざけしたいんじゃない?」

 男子の出場種目決めも決定したようで、龍くんが私たちの元にやって来た。
 毎年クラス単位でお揃いのTシャツを作るのが恒例なのに、今年は何故か、うちのクラスはTシャツじゃなくてヘアスタイルを統一することに決まってしまった。
 お金をかけずに目立つには目立つけれど……。

 男子はちょんまげみたいに前髪部分を蛍光色のヘアゴムで縛るか、同じ色のヘアピンで留めるか。
 女子はツインテールにして、男子とお揃いの蛍光色のヘアピンを留めることになった。