幼なじみは、私だけに甘い番犬

(椰子視点)

 翌日の朝、自宅に玄希が迎えに来た。
 
「おはよ」
「はよ」
「今日は編み込んでんだな」
「だって、体育があるから」

 ローファーに足先を入れて履いていると、ハーフアップにして編み込んだ部分に指先を這わせる玄希。
 私が髪を触られるのが嫌だったから、玄希も気を遣って触らないようにしてたのに。
 最近はよく髪を触るようになった気がする。

「行って来まーす」
「気をつけてね~」

 リビングから返事をする母親。
 私は玄希と共に自宅を後にした。

「あのさ」
「……ん?」
「龍斗に髪を……よく縛って貰ってんの?」
「え?」
「あ、いや……昨日、たまたま教室の窓から見えたから」
「……」

 玄希の言っている意味が分からず、昨日のことを思い返す。
 あっ!
 体育の授業前にシュシュで纏めて貰った、アレのことかな?

「龍くんちって、ご両親がヘアサロンを経営してるでしょ?」
「ん」
「龍くんも、将来は美容師になりたいらしくて、その練習も兼ねて、縛って貰ったり、ヘアアイロンでストレートにセットするのも、実は龍くんに教わったんだよね」
「は?」