「俺がいない間の椰子って、どんな感じだった?」
「今とそんなに変わらないよ。琴乃ちゃんと一緒に登下校してたし、他の女子とは殆ど交流なかったし」
「じゃあ、椰子に告って来る男子がいた?」
「そりゃあね~、あれだけ可愛かったらいるでしょ、普通に。まぁ、興味がないのか、その場で即断してたみたいだけど」
「……へぇ」
自分で聞いておきながら、龍斗の返答をドキドキしながら聞いてるあたり、俺小心者すぎるだろ。
「やっぱ、気になるんだ?」
「当たり前だろ。っつかーか、それしか考えてなかったから、マジで」
椰子に好きなやつが出来たらどうしようかと、この3年間毎日気が狂いそうだった。
だから、龍斗がそばにいてくれて、本当に安心だった。
「中学の頃はお互いに部活があったし、俺はエースで4番(野球部)で部長だったし、地区予選が終わっても都大会があって、毎日帰りは一緒に帰ってやれなかったから、琴乃ちゃんに丸投げしてたけど」
「……ん」
「部活を引退してからかな。一緒に過ごす時間が増えたの」
「……」
「琴乃ちゃんに二人して勉強教わって、この高校受かるためにしごかれたしさ」
自嘲気味に笑う龍斗を玄希はちょっと羨ましく思えた。
どんなに短い時間であろうと、椰子のそばで過ごしたかった。



