(椰子視点)
昼休み、教科棟へと続く渡り廊下の脇にある中庭のベンチ。
椰子は琴乃に話すために、中庭へと誘った。
「じゃあ、長谷川が急にいなくなったのは、移植手術をするために引っ越ししたってこと?」
「……うん。難病だし、幾ら若いと言っても手術に100%はないし、術後に合併症や拒絶反応を起こして亡くなる確率もあったらしくて。難病と分かった時点で、私には隠しておこうと思ったみたいなの」
「何それ……」
授業中に何度も話す流れを脳内でシュミレーションした椰子は、気持ちを落ち着かせながらできるだけ淡々とした口調で話した。
「今はもう平気なの?」
「大丈夫だとは言ってるけど。今朝、ネットで調べたら、5年生存率は80%くらいみたい」
「……微妙だよ、その数字」
「……うん、私もそう思う。98%とかだったら、安心できるのに、5人に1人は助からないってことでしょ?」
「そもそも余命宣告受けてることを考えたら、確率的にも凄いことなんだと思うけど、私らみたいに何の苦労もしていない人からしたら、とてつもなく怖い数字だよ」
「……うん」
「それじゃあ、泣き腫らした目でも仕方ないか」
玄希から全てを話していいと許可を貰っているため、椰子は包み隠さず琴乃に伝えることが出来た。
時折吹く風が、二人を優しく撫でてゆく。
もう夏がすぐそこまで来ているようだ。
昼休み、教科棟へと続く渡り廊下の脇にある中庭のベンチ。
椰子は琴乃に話すために、中庭へと誘った。
「じゃあ、長谷川が急にいなくなったのは、移植手術をするために引っ越ししたってこと?」
「……うん。難病だし、幾ら若いと言っても手術に100%はないし、術後に合併症や拒絶反応を起こして亡くなる確率もあったらしくて。難病と分かった時点で、私には隠しておこうと思ったみたいなの」
「何それ……」
授業中に何度も話す流れを脳内でシュミレーションした椰子は、気持ちを落ち着かせながらできるだけ淡々とした口調で話した。
「今はもう平気なの?」
「大丈夫だとは言ってるけど。今朝、ネットで調べたら、5年生存率は80%くらいみたい」
「……微妙だよ、その数字」
「……うん、私もそう思う。98%とかだったら、安心できるのに、5人に1人は助からないってことでしょ?」
「そもそも余命宣告受けてることを考えたら、確率的にも凄いことなんだと思うけど、私らみたいに何の苦労もしていない人からしたら、とてつもなく怖い数字だよ」
「……うん」
「それじゃあ、泣き腫らした目でも仕方ないか」
玄希から全てを話していいと許可を貰っているため、椰子は包み隠さず琴乃に伝えることが出来た。
時折吹く風が、二人を優しく撫でてゆく。
もう夏がすぐそこまで来ているようだ。



