幼なじみは、私だけに甘い番犬

 
 どこにいるのか。
 何をしているのか。

 あの日から一度も連絡がない。

 メールや電話をしてみたけど、一度も繋がったことがない。
 両親に聞いても話をはぐらかされるだけで。

 今はもう、口に出すこともなくなった。
 だって、言えることなら両親から話があると思うから。



 玄希の見た目は色気のあるクール男子で、顔面偏差値はかなり高い。
 いつ勉強してるのか分からないけど、成績は常に優秀だし、スポーツも万能。

 少し長めのストレートの黒髪は、ワックスで軽くアレンジされてて。
 女子に『王子』だなんて囃し立てられるほど人気者。

 見た目は文句なしのイケメンだけど、性格はちょっと難アリ。
 荒い口調と高圧的な態度。

 私の両親に頼まれているのもあって、私(天パの髪)を揶揄う子たちには容赦ない。
 言葉だけじゃ足りなくて、手が出ることも多々ある。

 番犬の如く、私に近づいた男子にすぐに噛みつくようになった。
 だから、男子の中でついたあだ名が『ドーベルマン』。

 揶揄った男子を追い払ってくれるまではいいんだけど。
 何故か、私にまで噛みつくんだよね。


『お前がビクビク怯えてっから、相手につけ込まれるんだよっ!』


 私を思って言ってくれているのは分かるけど。
 もう少し優しく言ってくれたっていいのに。