「あいつから連絡ないの?」
「ん?…………うん」
「どこで、何してるんだろうね」
「…………さぁ」
琴乃が言う『あいつ』とは、私の幼なじみの長谷川 玄希(18)のこと。
親同士(両カップル)が高校時代から凄く仲がよくて、結婚も妊娠もほぼ同じタイミングだったという。
3日早く生まれた玄希と私は勿論同学年で。
当然のように同じ保育園に通い、同じ小学校に通って、同じ中学校に通っていた。
あっ、そうそう、家まで隣同士なの。
新築の分譲マンションが売りに出された時に、両家で相談して購入したらしくて。
物心つく前から、ううん、生まれる前から玄希とは切っても切れない縁。
3年前のちょうど今時期。
私の誕生日の1週間前の日に、長谷川一家は忽然と姿を消した。
いつもなら4月上旬に合同(玄希と私)の誕生会を両家でしてたんだけど。
あの日から、誕生日は両親と祝うようになった。



