父親とは血液型が合わず、母親は血液型こそ同じだが、血管の形が合わずドナー不適合という結果が出た。
そして、父親の弟である叔父さんと適合した事が、俺がこうして今も生きていられる最大の要因。
父親は4人兄弟の長男で、俺に肝臓の一部を提供してくれたのは一番下の弟。
俺と10歳しか離れていないこともあって、肝臓の状態もそれ以外の体の状態も健康で、俺への負担も少ないのが最大のメリットだった。
歳を取っている方からの移植になると、肝臓の状態も歳と共に老化するため、ドナーの状態は移植を受ける側にとって予後の生存率に関わってくる。
ドナーの肝臓自体は一年ほどでほぼ移植前の大きさにまで回復する。
俺の方は、拒絶反応や感染症に気を付けて生活し、術後半年間は頻回に診察を受けた。
それ以降は月一回の定期検診をして過ごしていた。
1年を過ぎたあたりから運動許可も下りたため、体力回復を目指して、週4回のスイミングに通ったり、近所をジョギングしたり。
山が近いこともあって、休みの日に父親とトレッキングをしたりした。
徐々に体力が回復して、社会生活を送る自信がついたのが、2年半を過ぎた頃。
両親と相談して、地元に戻る決断をした。



