幼なじみは、私だけに甘い番犬


 年明けの1月下旬。
 あまりの腹痛に耐え切れず、深夜に両親に付き添って貰い救急外来を受診。
 医師から告げられたのは、肝臓の悪化だった。
 肝不全になりつつある状態で、このままでは余命一年も持たないという宣告。

 投薬やカテーテルの手術などをしても、肝臓自体が回復する見込みはほぼ無い。
 残された治療は、肝臓移植しかないと言われた。
 
 肝臓は親や兄弟などから生体肝移植が可能な事と、脳死の方から臓器を提供して貰える方法の2種類を教わり、すぐさまレシピエント登録をした上で、俺の両親は適合検査を受けた。

 明日は我が身という言葉があるように。
 本当に人生何が起こるか分からない。

 唯一救いだったのは、遺伝的なものではないと言われ、両親の心の負担を軽くする事が出来たんじゃないかと思う。

 そして、肝移植外来がある、関西の大学病院を紹介された。

 これが、俺の家族が引っ越した理由だ。
(引っ越す前の回想シーン終)

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(引っ越した後の回想シーン)

 中学3年に上がるタイミングで引っ越した。
 大学病院に程近いマンションを借りて生活し、高校も徒歩圏内で通える府立高校。
 治療に専念し、通えない日はレポートなどで補填した。

 元々勉強は出来る方だったから、助かったというのもある。
 
 そして、夏休みを使って、生体肝移植手術が行われた。