幼なじみは、私だけに甘い番犬


 翌日直ぐに紹介して貰った病院で精密検査することになり、仕事を休んだ母親に付き添われ受診した。

 一日がかりの検査をこなし、ヘトヘトになった頃に担当の専門医の診察室を訪れた。
 そこで言われた病名が『バッド・キリア症候群』。

 肝臓から出た血液を心臓へと運ぶ静脈に問題があると説明された。
 MRIの検査画像を見ても、どこの血管かなだんて、素人が見ても分かるもんじゃない。

 ただ言えることは、『バッド・キリア症候群』は難病指定の病で、大抵の場合慢性的に症状が緩やかに降下するらしいが、急性の場合は一カ月ほどで死に至ると言われた。

 幸いにも、俺は慢性タイプらしいが、既に血管に狭窄部分も出ているらしくて、直ぐに治療を開始しないとならないと宣告された。

それからの日常は階段を転がり落ちるのと一緒で、検査と治療をしているのに劇的に回復せず、投薬される薬がどんどん増えていった。

 浮腫んでいる脚を隠すためにギプスを作って貰い、『複雑骨折したから』と周りには嘘をついて、部活を休んだり見学したりして過ごしていた。

 知っているのは、学校の先生達と椰子の両親だけだった。