地元に戻ると決めた時点で、質問攻めに遭うことは覚悟していた。
学区が同じ事もあって、小学校、中学校で一緒だった奴らが多い事も。
ましてや、同じ部活だったやつがいる事も承知の上で転校して来たんだから。
それもこれも、椰子と同じ高校に通いたい一心で決めたから、後悔はしていない。
だって、もう二度と椰子の元に戻れぬ覚悟をして、3年前に姿を消したのだから。
(3年前の回想シーン)
夏休み中の部活で、他校との練習試合を終えて帰宅した俺は、体にいつもと違う違和感を覚えて、その日の夜に都立病院に勤務する看護師の母親に相談した。
夏バテか熱中症かと思ったんだけど、母親から脚が浮腫んでると言われて、翌日母親が勤務している都立病院を1人で受診した。
疲労から免疫力が低下している所に細菌が体内に入って炎症を起こしているのかと母親は思って受診を勧めたのだ。
血液検査と尿検査をして待合室で待っていると、別の科に勤務している母親が内線で呼ばれたらしく、血相を変えて走って来た。



