幼なじみは、私だけに甘い番犬

(椰子視点)

 目の前に差し出された玄希の手。
 見ない間に大きくなったように感じる。

 それに、前は日に焼けて健康的な感じのごつい手だった記憶があるが、今目の前に差し出された手は、細長い指がさらに際立つような骨ばった感じだ。

「痩せた?」
「あ?……あー、身長が結構伸びたからな」

 言われてみれば、見上げる角度が鋭角になった気がする。
 元々長身だったから、それほど気に留めなかったけれど、ますますモテ男全開ということか。

「繋がねーのかよ。彼女らしいこと、したかったんじゃねーの?」
「べ、別に……私は付き合いたいだなんていってないし」
「あっそ」

 玄希が勝手に交際宣言しただけで、まだ納得したわけじゃなから、玄希の手を掴むのを躊躇してしまった。
 すると、そんな私の態度に苛ついたのか、少しトーンの下がった声が降って来た、次の瞬間。
 体に軽い衝撃を受けた。

 玄希の長い腕が私の体を巻き取るように抱き寄せた。