幼なじみは、私だけに甘い番犬


 俺がいない3年の間に好きなやつが出来たらどうしようかと、それだけが不安だった。
 いや、正直に言えば、龍斗を好きになってんじゃないかと、気が気じゃなかった。

 龍斗は爽やか好青年タイプで、誰にでも優しく明るい性格。
 勉強は平均並みだけど、運動神経は抜群で、中学時代は野球部だった。
 地肌が分かるくらい短い坊主頭だったあいつが、俺の知らない間に髪を伸ばし、今では茶髪でモテ男の代表みたいになりやがった。

 長身で均整のとれた体躯をしてて、性格もいいし、見た目まで気を遣うようになったら……。
 俺がいない間に、椰子の気持ちが龍斗に向いていても不思議じゃない。

 だから、『……いないよ』という椰子の言葉に心底安堵した。

 俺が『秘密』だなんて返答したのが気に食わなかったのか。
 ぷくっと頬を膨らませた椰子。
 その顔、俺以外の男に見せたくないな。

 昨日、3年ぶりに再会したと同時に、無理やり彼女に仕立て上げたからだと思うけれど。
 今日は朝から機嫌が悪かった椰子。
 まぁ、俺に歯向かう勇気は相変わらず無いみたいだけど、あまり苛めすぎるのも自分の首を絞めるのが分かってるから。

「じゃあ、恋人らしく、手繋ぐか?」
「え?」
「ん」