幼なじみは、私だけに甘い番犬


 寺田家の飼い猫・まめちゃんは少し灰色がかったブラウンカラーで、猫にしては珍しく人懐っこい猫ちゃん。
 2年前に親戚の家から貰って来たらしくて、先週初めて子猫を産んだ。

(可愛いねぇ)
(キャアァ、めっちゃ寝顔がカワイイ!)

 琴ちゃんと声をひそめて顔を見合わせる。
 かなり大きな段ボールにバスタオルが敷き詰められていて、その中にまめちゃんと子猫が寝ていた。

 子猫を堪能した私たちは、龍くんの部屋がある3階へと向かう。

 琴ちゃんは龍くんに『また来てもいい?』だなんて話していて、暫くまめちゃんファミリーがブームになりそうな予感。

「猫、嫌いだったっけ?」
「別に」
「……そう?」

 何故か、玄希は段ボールに近づこうとしなかった。
 猫アレルギーでもあるのかな?と思ったけど、子供の頃は近所の猫を抱っこしてた記憶がある。
 両手が塞がってたから……かな?


 今話題沸騰中の海外ドラマの動画配信を観ることになって、それを観ながら買って来たお昼ご飯を食べることに。
 
『濃厚ミートソースパスタ』が思っていた以上に味が濃くて、お茶が飲みたくなった。
 だけど、ペットボトルの蓋が開かず、四苦八苦していると。
 横からスッと伸びて来た手が私のペットボトルを取り上げて、隣りに座る玄希が無言で開けてくれた。