幼なじみは、私だけに甘い番犬

(椰子視点)

 龍斗の家の近所のコンビニで買い物中。

「あっ……」
「持ってやるから、欲しいもん入れろ」
「大丈夫だよ、自分で持てるし、そんなにたくさん買わないよ」
「いいから、黙って選べ」
「……ありがと」

 今までなら立場は完全に逆だったのに。
『カゴ、持ってろ』だとか、『俺が選んでやる』とか言って、私は完全に奴隷と化してたのに。
 見たこともないくらい優しい玄希に戸惑ってしまう。



「私の分、後で払うね」
「いいよ、これくらい」
「よくないよ!」

 結局、カゴを持ってた彼はそのままレジで精算してしまって、今現在、買った物を全部持っていてくれてる。
 今日、台風が来るんじゃない?
 そんな風に思えてならない。

 龍くんの家は3階建てで、1階はご両親が経営しているヘアサロン。
 2階と3階が住居区になっていて、琴ちゃんと何度か来たこともある。

 店舗の裏手が住居の玄関になっていて、建物の中に入ると2階にダイレクトに上がるための階段がある。
 4人で2階へと上がる。

 2階にはリビングキッチンや和室、洗面所や化粧室、浴室などがあって、3階にご両親の寝室や龍くんの部屋がある造り。

「シーッ!まめ達、寝てるみたい」

 龍くんが口元に人差し指を当てて、音量を下げるように促して来た。