幼なじみは、私だけに甘い番犬


 龍くんは事前に知らされていたみたいだけど、琴ちゃんが知らなくてホッとしてる自分がいる。
 本当に自分だけが知らされてないんじゃないかと思ってたから、ちょっと安堵してしまった。

 学校に着くと、クラス表が既に貼られていて、自分の名前を確認する。

 私と琴ちゃんと龍くんが同じクラス(2組)で、玄希だけ別のクラス(3組)だった。

「長谷川、ざんねーん」
「お前、マジでうぜぇーな」

 琴ちゃんは私を苛める玄希がずっと嫌いだった。
 3年前に急にいなくなった時なんて、『あいつがいなくなって清々するね』なんて言ったほどだ。

「俺、職員室寄るから」
「あ、うん。場所分かる?」
「行き方、教えて」
「えっとね……」

 正面玄関から職員室に行く道順を教えていると、女子生徒の視線が玄希に向けられていることに気付く。
 見慣れぬ生徒がいれば、そりゃあ気になるよね。
 しかも、めちゃくちゃイケメンだし。

「椰子、サンキュ」

 ポンと頭を一撫でされて、玄希は颯爽と職員室へ向かって行った。

「ねぇ、倉木さんっ!さっきのイケメン、誰なの?知り合い?」

 玄希に名前呼ばれて、頭ポンされたからだと思うけれど。
 速攻で女子が群がって来た。
 コミュ障の私はこういう会話ですら、苦手なのに。

「おっ、お、幼なじみです」

 あぁもう、これ質問攻め、決定なやつだ。