幼なじみは、私だけに甘い番犬


 翌日の4月8日、始業式の朝。
 玄希は私が通う高校に転校手続きを済ませているらしく、一緒に最寄り駅へと向かう。

「何で同じ高校にしたの?」
「は?……違う高校に通う選択肢なんてねーだろ」
「……」

 昨日から、日本語のレベルが上がった?
 さっぱり理解できないんだけど。

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「椰子~~って、…………もしかして、長谷川?!」
「見りゃあ分かるだろ」
「……」

 改札口前でいつも待ち合わせている琴乃が、玄希を見て、驚愕している。

「いつ帰って来たの?!」
「昨日」
「元気だった?」
「それなりに」
「急にいなくなったりしたから、みんなびっくりしてたんだからねっ!」
「あっそ」
「相変わらずだね~、その口調」

 見た目は完璧だけど、塩対応なところは変わってない。

「よっ!玄希、お帰り~~」
「ただいま。っつーか、何、その頭。めっちゃしゃれ気づいてんじゃん」
「うっせーよっ」

 遅れて合流したのは、元々は玄希の親友の寺田(てらだ) 龍斗(りゅうと)
 中学、高校と同じ学校に通っていて、玄希がいなくなってからは、いつも私たち3人でつるんでいる。

「龍斗、長谷川が帰って来てるの、知ってたの?」
「あ、……うん。メール貰ってたから」
「えー、何で言ってくれなかったの?」
「玄希に口止めされてたから。ごめんな~」