幼なじみは、私だけに甘い番犬


「報告があります!俺達、付き合うことになったんで」
「あら、そうなの~?玄希くん、椰子のこと、よろしくね~」
「玄希くんが相手なら、安心だ」
「椰子ちゃん、困ったことがあったら、遠慮なく言ってね~」
「玄希、椰子ちゃんを泣かすんじゃないぞ?」
「わかってるって。おじさん、おばさん、安心して下さい。めっちゃ大事にしますんで」

 何これ。
 悪い冗談か、何かなの?
 まるで、結婚が決まったみたいな流れなんですけど?
 しかも、不自然すぎやしませんか?

 両家が顔を合わすのだって3年ぶりのはずなのに。
 私だけが時間が止まっているみたい。
 物凄く取り残されている気がする。

「ケーキは4毒抜きにしてあるから、料理を沢山食べた後でも食べられるわよ~」
「さっすが!椰子は先にケーキ食うか?」

 無毒そうな顔で母親が作ったケーキを指差す玄希。
 本当に、何なの?
 示し合わせたかのように、息がピッタリすぎるんだけど。

「後でいい」
「じゃあ、椰子が好きなエビフライでも取ってやろうか」

 居心地悪すぎ。
 胃もたれしそう。

 玄希一家がいなくなった理由を、私だけが知らなかったみたいじゃない。
 何度も親に尋ねたけれど、その度にはぐらかされていたから。
 もしかしなくても、きっとそうだ。

 私には知らせたくなかった……のだろう。