幼なじみは、私だけに甘い番犬


 3年ぶりに会ったと思ったら、いきなりそんなこと、言われても。
 玄希は、幼なじみ以外の何ものでもないのに。

「彼女になるか、嫁になるか」
「えっ、その2つしか無いの?!」
「今すぐこの場で、既成事実作るっていう手もある」
「なっ……」

 ダメだ。
 全く会話にならない。
 こういう時の彼は、はぐらかそうとすると意地悪になるんだよね……。


 コンコンコンッと部屋のドアがノックされた。

「椰子〜、玄希くんのご両親も来たから、ご飯にしましょ~」

 ドア越しに母親の声が聞こえて来る。

「ほら、早く決めないと、『既成事実』になんぞ」
「っ……」
「椰子~、いるんでしょ?」

 再度ドアがノックされた。

「開けるわよ……?」

 ドア越しに母親の声が届く。

「…………彼女で!」
「フッ、最初から、そう言えばいいものを」
「なっ」
「おばさん、今行きま~す」

『いるなら、返事くらいしなさいよね』という母親の声がドア越しに聞こえ、階段を下りてゆく足音が聞こえて来た。


「んじゃあ、今日から彼女、ヨロシクな」
「っっ……」

 意地悪くわざと耳元で呟いて、ポンと頭を一撫でされた。

 無駄にイケメンなのが悪い。
 3年ぶりだからなのか。
 無意味に優しくされると、ドキッとしちゃったじゃない!