幼なじみは、私だけに甘い番犬


 壊れたからくり人形のようにぎこちなく振り返る。
 すると、自分のベッドの上に、すらりとした男が横たわっているではないか。

 今が夜なら、拓兄が酔っぱらって部屋を間違えて寝ちゃったのだと思わなくもないが。
 拓兄は金髪のツンツンヘアーだから、遠目でも分かる。

 誰?
 寝ている男に、一歩一歩と恐る恐る近づくと、どこかで見たような……。

 寝息を立てているその男の顔を確かめようと、更に近づく。

 さらりとした少し長めの黒髪。
 色白で物凄く整った精悍な顔つき。
 そして、私のベッドが物凄く小さく感じるくらいすらりとした長い手足。

「…………玄希?」

 3年ぶりに見た彼は少し大人びた印象で、色香が増したように見える。
 琴乃と小一時間くらい前に話題にしたこともあって、幻を見てるんじゃないかと思えてならない。

 思わずそぉ~っと、髪に触れてみる。
 艶々とした黒髪は3年前と何一つ変わってなくて、『あぁ、この感触……』と笑みが零れた。

 目の前にいる人が本人かどうか。
 未だに信じられず、体温を確認しようと頬に震え気味の指先でそっと触れようとした、その時。