幼なじみは、私だけに甘い番犬

(玄希視点)

 椰子のやつ、何かおかしなことを考え始めたぞ。

 俺のキスに恍惚の表情を浮かべていたのが嘘のように。
 何の拷問?
 いや、何プレイなんだよ。
 意味分かんねーぞ。

 キスの『初めて』なんて、3歳の頃にお前に捧げてやったんじゃん。
 近所の飼い犬にキスされて『おひめさまになれない』って俺に泣いて縋ったから。
 仕方なく、3歳のガキが頭捻って考え出した答えが、キスで上書きすることくらいだった。
 まぁ、今同じ状況になっても、恐らく同じことしてたと思うけど。

「大阪に住んでた時に……彼女……いた?」
「は?……いるわけねーだろ」
「……ホント?」

 え、何これ。
 俺、疑われてんの?
 ってか、椰子でも嫉妬すんのな。
 っつーか、めっちゃ嬉しいんだけど。

 美咲の時も思ったけど。
 意外とこういうの、椰子にはいいスパイスになりそう。

「あの子にも……見せたの?」
「何を?」

 まさか、ナニの話じゃねーよな?
 あの子=美咲、というのは直ぐに分かるけど。
 その先がイマイチ読めねーぞ。

 ごくりと生唾を飲み込んだ、椰子。
 いやいや、そんな緊張するって……マジな質問系なわけ?

 じーっと見つめられている瞳が、ゆっくりと降下し始めた。
 おい、待て。
 その視線の先にあるのは……。