その日の夜、凪に優しく抱いてもらった
私は、なかなか寝付けず、腕の中で
ずっと色々考えてしまっていた。
お父さんには報告できるけど、
お母さん‥‥会ってくれるだろうか‥‥
18歳で家を出てから、もうすぐ10年
母との思い出は、悲しい事が多すぎて、
向き合えるか不安でたまらない‥‥
『‥どうした?‥寝れねぇ?』
ドキッ
寝息が聞こえてたからてっきりもう
寝ていると思っていたのに、腰に
巻きついた手に力が込められ、首筋に
凪の唇が触れた。
「‥‥‥凪と家族になる前に、
私の家族の話をしないといけないの。
また眠くない時に聞いてくれる?」
凪のご両親もこの工房を残してくださった凪の祖父母も血が繋がってはいなくても凪は幸せに育ったと教えてくれた。
血が繋がっているのに、10年も疎遠な
状態を聞いてどう思うだろうか‥‥
『皐月‥こっち向け。』
「ん‥‥」
モゾモゾと体の向きを変えると、また
そのまま腕の中に閉じ込められた。
『眠くねぇから話してみろよ。
お前の話なら全部聞くから。』
凪‥‥‥‥
酒向さんにも話した事がない母の話を
する間も、凪は黙って聞いてくれ、
私が言葉に詰まると、その都度背中を
何度もさすってくれた。
皐月のおかげで今を生きれている事を
母は今どう思っているのか知りたい‥
もしかしたらいい結果は望めないかも
しれないけれど、私の中で生きている
皐月の為にも話がしたい‥‥
『‥‥‥いい機会だから一緒に
名古屋に行かないか?』
えっ?
『嫁にもらうなら、挨拶はしないとな?
お前を産んで育ててくれた両親に、
俺を会わせてくれるか?』
凪‥‥‥
怖い‥‥
でも、凪となら不思議と大丈夫だと
思える。
「うん‥‥ありがとう‥‥凪。」
涙が溢れた私の顎を指で持ち上げられる
と、塞がれた唇に答え、もう一度優しく
抱き締めてくれた。
凪と一緒に生きていく‥‥。
私が今するべきことは前を向いて
下を向かないこと‥‥。
凪に守ってもらってばかりでは、この先も心配ばかりかけてしまう。だから、
この温かい温もりをくれる大切な人を
守りたいからこそ自分が強くなるべきだ
と思えた。
私は、なかなか寝付けず、腕の中で
ずっと色々考えてしまっていた。
お父さんには報告できるけど、
お母さん‥‥会ってくれるだろうか‥‥
18歳で家を出てから、もうすぐ10年
母との思い出は、悲しい事が多すぎて、
向き合えるか不安でたまらない‥‥
『‥どうした?‥寝れねぇ?』
ドキッ
寝息が聞こえてたからてっきりもう
寝ていると思っていたのに、腰に
巻きついた手に力が込められ、首筋に
凪の唇が触れた。
「‥‥‥凪と家族になる前に、
私の家族の話をしないといけないの。
また眠くない時に聞いてくれる?」
凪のご両親もこの工房を残してくださった凪の祖父母も血が繋がってはいなくても凪は幸せに育ったと教えてくれた。
血が繋がっているのに、10年も疎遠な
状態を聞いてどう思うだろうか‥‥
『皐月‥こっち向け。』
「ん‥‥」
モゾモゾと体の向きを変えると、また
そのまま腕の中に閉じ込められた。
『眠くねぇから話してみろよ。
お前の話なら全部聞くから。』
凪‥‥‥‥
酒向さんにも話した事がない母の話を
する間も、凪は黙って聞いてくれ、
私が言葉に詰まると、その都度背中を
何度もさすってくれた。
皐月のおかげで今を生きれている事を
母は今どう思っているのか知りたい‥
もしかしたらいい結果は望めないかも
しれないけれど、私の中で生きている
皐月の為にも話がしたい‥‥
『‥‥‥いい機会だから一緒に
名古屋に行かないか?』
えっ?
『嫁にもらうなら、挨拶はしないとな?
お前を産んで育ててくれた両親に、
俺を会わせてくれるか?』
凪‥‥‥
怖い‥‥
でも、凪となら不思議と大丈夫だと
思える。
「うん‥‥ありがとう‥‥凪。」
涙が溢れた私の顎を指で持ち上げられる
と、塞がれた唇に答え、もう一度優しく
抱き締めてくれた。
凪と一緒に生きていく‥‥。
私が今するべきことは前を向いて
下を向かないこと‥‥。
凪に守ってもらってばかりでは、この先も心配ばかりかけてしまう。だから、
この温かい温もりをくれる大切な人を
守りたいからこそ自分が強くなるべきだ
と思えた。



