『皐月‥目を瞑って?』
「えっ?なんで?」
『いいから‥』
凪の右手を一旦離すと、よく分からな
かったけど、目を瞑った。
すると、凪の違う私の手を取り、
そこに何かを置いたのだ
『開けていいよ。』
何が手に乗っているのか気になり、
少しワクワクしつつも片目ずつそっと
開けると、そこに木でできた小さな
四角い箱が置かれていた。
綺麗‥‥‥
私が好きな無垢材で作られている
小さな箱は、凪が作ったものだと
分かるくらい丁寧で手触りが抜群に良い
『皐月‥‥お前と出会ったこの場所で
もう一度伝えたくてさ‥‥
やっと完成したから言うよ。』
えっ?
凪の手が私の掌の上にある小箱に
触れると、それをゆっくりと開けた。
「ッ‥!‥‥嘘‥‥」
『皐月‥‥俺と家族になろう。』
開けられた箱の中に入っていた指輪に、
開いた口が閉じず、両目があっという間に涙で滲んでゆく
病室で言われた時に、もう気持ちは
決まっていたけれど、改めてこうして
気持ちを伝えてくれた想いが嬉しくて
堪らない‥‥
「‥‥はい‥私も凪と家族になりたい。
よろしくお願いします。」
『フッ‥‥照れ臭ぇな‥‥。
こんな台詞一生に一度でいい。』
私の涙を指で拭いながら笑う凪が、
箱から指輪を取り出すと、私の右手の
薬指にゆっくりとそれをはめてくれた。
「‥‥ッ‥‥綺麗‥‥ありがとう‥
大事にする。」
椅子から立ち上がり、凪の首にしがみつくように抱き付くと、凪が私の背中に
手を回し優しく抱き締めてくれた。
『‥‥‥大事にする。
だからずっとここに居ろ。』
「ッ‥うん‥‥うん‥ここに居たい。」
毎日寝たきりで、窓から空を眺めていた
あの頃。
自分の世界は一生このままこの景色しか
見られないと思っていた私からは
想像できなかった世界が目の前に訪れた
皐月‥‥‥
あなたが私にくれた大切な命‥‥
この命がなければ、今の私はなかった
あと何年生きられるから分からない私を
凪は受け入れてくれた‥‥。
だから私も残りの人生を全うしたい。
そのために、心残りとなっている
ことに向き合うべきなのかもしれない‥
「えっ?なんで?」
『いいから‥』
凪の右手を一旦離すと、よく分からな
かったけど、目を瞑った。
すると、凪の違う私の手を取り、
そこに何かを置いたのだ
『開けていいよ。』
何が手に乗っているのか気になり、
少しワクワクしつつも片目ずつそっと
開けると、そこに木でできた小さな
四角い箱が置かれていた。
綺麗‥‥‥
私が好きな無垢材で作られている
小さな箱は、凪が作ったものだと
分かるくらい丁寧で手触りが抜群に良い
『皐月‥‥お前と出会ったこの場所で
もう一度伝えたくてさ‥‥
やっと完成したから言うよ。』
えっ?
凪の手が私の掌の上にある小箱に
触れると、それをゆっくりと開けた。
「ッ‥!‥‥嘘‥‥」
『皐月‥‥俺と家族になろう。』
開けられた箱の中に入っていた指輪に、
開いた口が閉じず、両目があっという間に涙で滲んでゆく
病室で言われた時に、もう気持ちは
決まっていたけれど、改めてこうして
気持ちを伝えてくれた想いが嬉しくて
堪らない‥‥
「‥‥はい‥私も凪と家族になりたい。
よろしくお願いします。」
『フッ‥‥照れ臭ぇな‥‥。
こんな台詞一生に一度でいい。』
私の涙を指で拭いながら笑う凪が、
箱から指輪を取り出すと、私の右手の
薬指にゆっくりとそれをはめてくれた。
「‥‥ッ‥‥綺麗‥‥ありがとう‥
大事にする。」
椅子から立ち上がり、凪の首にしがみつくように抱き付くと、凪が私の背中に
手を回し優しく抱き締めてくれた。
『‥‥‥大事にする。
だからずっとここに居ろ。』
「ッ‥うん‥‥うん‥ここに居たい。」
毎日寝たきりで、窓から空を眺めていた
あの頃。
自分の世界は一生このままこの景色しか
見られないと思っていた私からは
想像できなかった世界が目の前に訪れた
皐月‥‥‥
あなたが私にくれた大切な命‥‥
この命がなければ、今の私はなかった
あと何年生きられるから分からない私を
凪は受け入れてくれた‥‥。
だから私も残りの人生を全うしたい。
そのために、心残りとなっている
ことに向き合うべきなのかもしれない‥



