遣らずの雨 下

凪はテントは持っているらしいが、
それ以外はいつも羽鳥さん達が用意
してくれるから殆ど手ぶらでいつも
行くらしい。


沢山ある種類を屈んで見比べている
凪の隣に同じようにしてしゃがんだ。


エアーマットレスとこれは寝袋って
書いてある‥‥


『夏といえど朝晩は冷えるからな。
 これなら2人で寝れるだろ。』


テントの中に床に敷くエアーマットレス
はその名の通り空気を入れたら膨らむ
ので持ち運びに便利そう。


シュラフと呼ばれる寝袋はジッパーで
上下が切り離せるタイプで、色々な
種類があるので凪に任せた。


「凪、お金渡すから金額教えて?」


『いらない。俺の我儘で連れてくから
 素直に甘えておけ。』


私‥‥‥沢山もう甘えてるよ?


自分がこんなにも素直に誰かに
甘えられてるのは凪のおかげだし、
私が今後も甘えたいのはあなただけ‥‥


「凪も私に我儘言って欲しい‥。
 それに甘えて欲しい‥‥。」


買い物を終え車に乗り込むと、
夏の暑さがこもる車内で
エンジンをかけた凪のTシャツの袖を
軽く引っ張った。


対等で居られるようにするには、
私が相当努力をしないと行けない。


まだ頼りないし、しっかりしてない
ことも多いと思うから、すぐには
甘えられないかもしれないけど、
私も凪のような存在でありたいのだ


『‥‥お前さ‥今そういうこと言う?』


えっ?


西陽が差し込む車内に影ができたと
思ったら、凪に後頭部を引き寄せられ
唇が塞がれ、恥ずかしさから離れようと
するも、滑り込んできた舌に溶かされ
体の力が抜けてしまう


「ッ‥‥なんで‥こんな外で‥‥」


チュッとリップ音を鳴らしながら離れた
唇に目を開けると、私のとろけた顔を見て凪が笑っていた


夏の夕方はまだ明るいから、誰に
見られててもおかしくないのに‥‥


『俺‥お前に甘えただろ?‥‥。』


「ッ!!そんなすぐじゃなくても
 いいの!‥‥もう恥ずかしい‥‥」


『フッ‥‥じゃあ帰ってから
 我儘聞いてもらうわ‥‥
 飯食って帰るぞ。』


その日の夜も、昨日ほどとはいかない
までも優しく激しく抱かれ、凪が
言うにはそれが自分の我儘と甘えに
なっているらしい。


恥ずかしさは消えないけど、
凪に傷痕を見せることへの抵抗は
いつの間にかなくなっていた。

体を重ねると温かくて、安心する。
傷痕がない人に比べたら、どうしても
目に入るし自分の中では気にはなる
けれど、これは私と皐月を繋ぐ大切な
傷なのだ‥‥