遣らずの雨 下

『皐月ちゃーん』


「えっ?羽鳥さんに柿添さん、
 どうされたんですか?」


お盆休み真っ只中の日中に2人が
ここに訪ねてくるなんて初めてだ。


水やりをしていた為、ホースの水を
止めるとタオルで汗を拭い駆け寄った


『暑いのにご苦労様。
 はい、これ俺たちから差し入れ』


「わぁ!ありがとうございます。
 これってもしかして有名な
 ジェラートのお店ですよね?」


行ったことはないけれど、S◯Sでよく
アップされていたところだから
気にはなっていたのだ


暑い日だからこその差し入れに
目が輝いてしまう。


『喜んでもらえて良かった。
 中で一緒に食べよう?凪は工房?』


「あ‥多分家の方だと思います。
 片付けするって言ってたので。」


ジェラートを手に凪の家へ3人で
向かうと、凪は私を見たあと後ろの
2人に気付きいっきに
不機嫌な表示を見せた。


あからさまなんだから‥‥‥。
でもこれが凪が裏表がないいいところ
でもあるんだけどな‥‥


「羽鳥さん達にジェラート貰ったよ。」


『そっか、冷凍庫入れとけ。』


『凪ーーキャンプ行こうぜーー。
 何で今年は行かないんだよ?』


キャンプ?

そんな話は初めて聞くから、凪の方を
チラッと見てしまった。


『お前らだけで行けよ。今年は皐月が
 いるから行かねぇって言っただろ?』


えっ?


『皐月ちゃんも行けばいいじゃん。
 富士山と夜景が見えるいい場所
 なんだよ?キャンプとか嫌い?』


「キャンプはしたことないです。」


『『『えっ!?』』』


アイスコーヒーを作りながら向けられた
視線と3人のリンクする声に、私の方が
驚いてしまう


だって‥‥キャンプなんて一緒にする
相手も居なかったし、1人で生きていく
なんて思ってた人生だから頭の片隅にも
そんな考えはなかったし‥‥


『凪、尚更連れてこうぜ?
 テントは分けてやるから。』


「柿添さん、私は大丈夫ですから、
 凪と3人で行ってきてください。」


キャンプはどんなものか分からないけど
この2人のテンションに付き合える
パワーが私には足りない


みんなお酒が入ると絡みが強いから‥‥


『分かったよ‥‥皐月も連れてく。』


えっ!?


「凪、私は」

『あんなことがあってここに1人で
 置いていけるわけねぇだろ。
 せっかくだからお前も楽しめ。
 金はコイツらが全部出すから。』