遣らずの雨 下

「私が作ろうと思ったのに、凪が
 作ったらお礼にならない‥‥」


『フッ‥なんのお礼だよ。
 お前には十分色々して貰ってるから
 偶には甘えろ。男はそうされると
 喜ぶって知ってるか?』


「えっ?‥んっ!」


私の唇を啄むようにキスをした凪が
ニヤリと笑う。


そんなの‥昨日だって十分私は甘やか
されたと思ってる‥‥。
それなのにまだ甘えた方がいいの?


不意打ちの行為に顔をパタパタと仰ぐと
ホットサンドメーカーらしきものを
用意した凪に興味津々で近寄る。


「凪ってエプロン似合うよね。」


格好こそラフだけど、ネイビーの
エプロンがとてもよく似合っていた。


『そうか?普通だろ。』


「ううん、仕事してる時のエプロンも
 似合ってるし、カッコいいなって‥」


カウンターに座って肘をつきながら、
目の前で調理する姿をニコニコと
眺めていると、照れくさそうに笑う
凪に私も嬉しくなった



『はい、お待たせ。』

「ありがとう!美味しそう!」


淹れたての珈琲と一緒にいただきますを
すると、熱々のホットサンドにかぶりつき、その美味しさに凪を見た。


『フッ‥そんなに美味いか?』


美味しい‥美味し過ぎる‥‥


卵とベーコン、スライストマトに
キャベツとケチャップ、チーズを
順番に入れてたのは見てたけど、
簡単なのにこんなに美味しいなんて、
食べずに生きてきて損をした気分だ


コクコクと頷く私を見て笑った彼を
他所に、美味し過ぎて止まらない私は
あっという間にそれを食べてしまった



「明日は私が作ってもいい?」


洗い物をしながら隣に立つ凪にそう
話すと、一瞬でも真顔になった凪が
近づいてきてそっと耳元で囁いた


『じゃあ‥‥今日もここに
 泊まればいい。』


「ッ‥‥と、泊まらなくても作りに
 くればいいから‥ッ」


昨日みたいに抱かれたら身体がとても
もたない。
まだ怠さもあるし、筋肉痛のような
軽い痛みも残ってる。


チラッと横を向けば、タンクトップから
覗く引き締まった二の腕に、私の腕の
何倍くらい太いのだろうと思わされる


ジョギングはしてるっぽいけど、
筋トレとかそんなにしてるところは
見ないから、日々の仕事で付いた
自然の筋肉なのだろう‥‥


午後から沢山洗濯をしても夏の日差しに
3時間も当てれば乾いてしまう


掃除と洗濯を済ませると、
植物達の世話を木陰でしていた