遣らずの雨 下

晩御飯を簡単に済ますと、凪が真顔で
そう聞いてきた事に言葉が詰まる


1度目は気付いたら一緒に寝てて、
2度目は朝までソファで2人で眠った。




今日の一緒に寝るって言う意味を
考えていると、洗い物を済ませた私の
元に凪がやって来た。


『心配だからって意味だけど‥‥フッ
 ‥その顔は違う事考えてたな‥‥。』


「えっ!?‥‥何言って‥‥
 何も考えてないから‥ッ‥‥‥。
 凪が嫌じゃなければ行くから!‥‥」


怖くないと言ったら嘘になる。

あの男性はあの後警察に
連れていかれたものの、
もしかしたらすぐに帰って来てしまうかもしれない‥‥


襲われかけたけど、他に何か被害が
あったわけじゃない。
それでもやっぱり怖かったのは事実だ。



『嫌なわけないだろ‥‥‥。
 準備できたら一緒に行くから、
 シャワー浴びて来いよ。』


「う、うん‥‥し、シャワーね‥‥。
 行ってくるよ‥‥。」


全くもって緊張なんてしていない凪に
緊張し過ぎるのもおかしい気がする
なんて思い、サッとシャワーを浴び、
髪を乾かしてから凪の元り、戸締りを
してから凪の住み家へと向かった。


『俺もシャワー行ってくる‥‥
 好きにしてていいから。』


「うん‥‥」


『‥どうした?‥‥1人だと不安?』


「えっ!?ううん!ち、違うから、
 シャワー行ってきていいよ‥ッ」


脱ぎかけた服を戻しながらやって来た
凪に対して全力で否定すると、また
背を向けて奥へと行ってしまった。


はぁ‥‥‥


不安というか‥恐怖心は100%なくなったわけじゃないけれど、何よりも凪の
生活スペースに足を踏み入れてることに
緊張してしまうのだ



まさか凪から思いを伝えてくれるなんて
思ってもみなかった‥‥


自分を曝け出して向き合える相手だと
思えたところで、愛情に変わってから
まだそんなに時間が経っていない。


凪はいつからそんな気持ちを私に
向けてくれていたのだろうか‥‥‥


キッチンに備え付けられていた
ウォーターサーバーからコップにお水を
注ぐと、ドアが開く音が聞こえ、
振り向いた途端にお水を吹き出しそうに
なった。


「ッ‥ふ、服着てよ!!」


タオルで髪を拭きながら、上半身裸と
短パンという姿で現れた凪に勢いよく
背を向ける


一瞬だったけど、凪の引き締まった
上半身を見てしまい、先程抱き締められた力強い腕を思い出してしまったのだ