正直‥‥酒向さんに話す時も勇気が
かなり必要だった。
偶然とはいえ、病院で紗英という
名前を耳にしていた酒向さんだから、
流れで話しやすかったのもある
でも‥凪は何も知らない‥‥
ただ、名古屋から考えもなしに来た
同い年の新名 皐月ということしか‥‥
「‥‥途中で話せなくなったら
辞めてもいい?」
『ん‥‥それでいい‥‥聞きたい。』
凪をチラッと見てから
大きく深呼吸をしてから口を開く。
15歳まで
外の世界を知らなかったこと。
心臓が弱く何度も手術を繰り返し
生死を彷徨い、亡くなった妹の
心臓を移植をして今があること。
家族とはうまくいかなくなり、
高校卒業後に家を出て1人で
暮らしていたことを話した。
「色々あったけど、今は
後悔はしたくないなってようやく
思えてるよ‥‥。」
ここまで話すと、目頭が熱くなり
泣きそうな気持ちをグッと堪える
名前を変えて生きてる事は
酒向さんにはバレてしまったけど、
この先誰にも言うつもりはない。
18歳でそう生きると決めた気持ちに
嘘はないし、紗英と呼ばれなくても、
私は紗英のことを忘れないから。
『後悔か‥‥‥そうだよな‥‥。』
凪‥‥‥
両手をお腹の前で組み、背もたれに
もたれ天井を見上げる彼を見つめると、
顔だけ私の方に向けフッと笑った。
『皐月の事が知りたかった。
お前に会えて良かったって本当に
思えてる‥‥だからサンキュ‥。』
「‥‥ッ‥‥ううん‥‥聞いてくれて
ありがとう。」
大変だったな?とか、辛かったな?とか
じゃなく、聞いて良かったと言った
凪の顔を見て、涙が一筋溢れてしまい
慌てて手の甲でそれを拭った
話すことでラクになることだってある。
同情して欲しいんじゃないし、慰めて
欲しい訳じゃない。
今の私を見てくれているその気持ちが
ただただ嬉しかったんだと思う。
『俺はさ‥‥産まれてすぐに施設の
前に捨てられてて、そこで10歳まで
暮らして、そのあとに養子として
今の親の家に引き取られた。』
凪が私の頭をクシャリと撫でると、
何処か寂しそうに笑った気がした
かなり必要だった。
偶然とはいえ、病院で紗英という
名前を耳にしていた酒向さんだから、
流れで話しやすかったのもある
でも‥凪は何も知らない‥‥
ただ、名古屋から考えもなしに来た
同い年の新名 皐月ということしか‥‥
「‥‥途中で話せなくなったら
辞めてもいい?」
『ん‥‥それでいい‥‥聞きたい。』
凪をチラッと見てから
大きく深呼吸をしてから口を開く。
15歳まで
外の世界を知らなかったこと。
心臓が弱く何度も手術を繰り返し
生死を彷徨い、亡くなった妹の
心臓を移植をして今があること。
家族とはうまくいかなくなり、
高校卒業後に家を出て1人で
暮らしていたことを話した。
「色々あったけど、今は
後悔はしたくないなってようやく
思えてるよ‥‥。」
ここまで話すと、目頭が熱くなり
泣きそうな気持ちをグッと堪える
名前を変えて生きてる事は
酒向さんにはバレてしまったけど、
この先誰にも言うつもりはない。
18歳でそう生きると決めた気持ちに
嘘はないし、紗英と呼ばれなくても、
私は紗英のことを忘れないから。
『後悔か‥‥‥そうだよな‥‥。』
凪‥‥‥
両手をお腹の前で組み、背もたれに
もたれ天井を見上げる彼を見つめると、
顔だけ私の方に向けフッと笑った。
『皐月の事が知りたかった。
お前に会えて良かったって本当に
思えてる‥‥だからサンキュ‥。』
「‥‥ッ‥‥ううん‥‥聞いてくれて
ありがとう。」
大変だったな?とか、辛かったな?とか
じゃなく、聞いて良かったと言った
凪の顔を見て、涙が一筋溢れてしまい
慌てて手の甲でそれを拭った
話すことでラクになることだってある。
同情して欲しいんじゃないし、慰めて
欲しい訳じゃない。
今の私を見てくれているその気持ちが
ただただ嬉しかったんだと思う。
『俺はさ‥‥産まれてすぐに施設の
前に捨てられてて、そこで10歳まで
暮らして、そのあとに養子として
今の親の家に引き取られた。』
凪が私の頭をクシャリと撫でると、
何処か寂しそうに笑った気がした



