一月後
酒向さんと紫乃さんの家具も無事に
完成し、凪の計らいでチェアの背もたれ
に2人の名前がデザインされた素敵な
一点ものは、丁寧に包装され工房を
旅立って行った。
「お疲れ様です。」
『ん‥‥‥‥疲れた‥‥。』
たった1人で作り上げる凪の家具‥‥
もっと沢山の人に知ってもらえたら
いいのに‥‥
夜も睡眠を削って他の仕事と並行して
作業してたことも知ってるし、オーダー
が増えたら増えたで体力や気力が更に
必要になってしまう
前職のマーケティングが、何か
生かすことが出来たらいいけれど、
企業と個人とは違う考えでいないと
ダメな気がしていた。
『明日、遊と旭がバーベキュー
するから来いって‥‥皐月も行く?』
羽鳥さんと柿添さんかぁ‥‥
何度も数えきれないほど会ってる
ものの、今いちまだあの特有のノリに
ついていけない。
「‥凪だけ行っておいでよ。」
スマホの画面から私の方をチラッと
見た凪が体を起こすと、パソコン作業を
する私の目の前に立った
『‥‥アイツらのこと苦手?』
「えっ?‥‥ううん‥‥。
私ね‥ずっと1人で生きていくって
思って過ごしてて、酒向さんに会えて
前に進めたって思ってたんだけど、
誰かと過ごすことに慣れてないから
難しくて。私の問題だからごめん。」
凪の事だから、私に友達がいないことも
気付いていると思う‥‥
こんな遠いところまで勢いで来たし、
実家にも帰ろうとすらしない。
何も詮索してこないのをいいことに、
このまま隠して生きていけたらラク
なんだと錯覚してしまいそうになる。
『俺とは普通にしてんのに?』
えっ?
パタンと閉められたノートパソコンに
凪の肘が置かれると、至近距離まで
近寄る男前の顔に思わず笑みが溢れる
「凪は‥‥なんか‥‥緊張しない。
呼吸がラクだよ。私さ‥‥心臓の
手術してるから前みたいに偶に発作が
出たりもするんだけど、凪といると
大丈夫なんだよね‥不思議だけど。」
『‥‥‥チッ‥‥ムカつく』
えっ!?
「ちょっ‥‥‥んっ!」
大きな手で顎を掴まれると、不意に
近づいてきた凪が私の鼻の頭に
自分の唇を触れさせた
「凪!な‥なにして‥」
『‥‥‥ムカついたから。』
はぁ?
何か気にさわるような事を言って
しまったか考えるが、ムカつくなんて
言われる覚えはないんだけど‥‥
酒向さんと紫乃さんの家具も無事に
完成し、凪の計らいでチェアの背もたれ
に2人の名前がデザインされた素敵な
一点ものは、丁寧に包装され工房を
旅立って行った。
「お疲れ様です。」
『ん‥‥‥‥疲れた‥‥。』
たった1人で作り上げる凪の家具‥‥
もっと沢山の人に知ってもらえたら
いいのに‥‥
夜も睡眠を削って他の仕事と並行して
作業してたことも知ってるし、オーダー
が増えたら増えたで体力や気力が更に
必要になってしまう
前職のマーケティングが、何か
生かすことが出来たらいいけれど、
企業と個人とは違う考えでいないと
ダメな気がしていた。
『明日、遊と旭がバーベキュー
するから来いって‥‥皐月も行く?』
羽鳥さんと柿添さんかぁ‥‥
何度も数えきれないほど会ってる
ものの、今いちまだあの特有のノリに
ついていけない。
「‥凪だけ行っておいでよ。」
スマホの画面から私の方をチラッと
見た凪が体を起こすと、パソコン作業を
する私の目の前に立った
『‥‥アイツらのこと苦手?』
「えっ?‥‥ううん‥‥。
私ね‥ずっと1人で生きていくって
思って過ごしてて、酒向さんに会えて
前に進めたって思ってたんだけど、
誰かと過ごすことに慣れてないから
難しくて。私の問題だからごめん。」
凪の事だから、私に友達がいないことも
気付いていると思う‥‥
こんな遠いところまで勢いで来たし、
実家にも帰ろうとすらしない。
何も詮索してこないのをいいことに、
このまま隠して生きていけたらラク
なんだと錯覚してしまいそうになる。
『俺とは普通にしてんのに?』
えっ?
パタンと閉められたノートパソコンに
凪の肘が置かれると、至近距離まで
近寄る男前の顔に思わず笑みが溢れる
「凪は‥‥なんか‥‥緊張しない。
呼吸がラクだよ。私さ‥‥心臓の
手術してるから前みたいに偶に発作が
出たりもするんだけど、凪といると
大丈夫なんだよね‥不思議だけど。」
『‥‥‥チッ‥‥ムカつく』
えっ!?
「ちょっ‥‥‥んっ!」
大きな手で顎を掴まれると、不意に
近づいてきた凪が私の鼻の頭に
自分の唇を触れさせた
「凪!な‥なにして‥」
『‥‥‥ムカついたから。』
はぁ?
何か気にさわるような事を言って
しまったか考えるが、ムカつくなんて
言われる覚えはないんだけど‥‥



