コクコクと首を縦に振ると、
工房のドアが開き、凪が私に手を振った
‥‥‥凪‥‥行ってくるね。
離れてるから見えてるか分からないけど
笑顔で控えめに手を振ると口パクで
凪が何かを言った気がした
『‥‥新名行くよ。』
「えっ?あ‥‥は、はい。」
ジッとこちらを見ている凪を車内から
見ながらもう一度手を振った
最後に酒向さんの車に乗ったのは
いつだっただろうか‥‥
沢山回数をなったわけではないけれど、
初めて乗った日のことは何故かとても
よく覚えている
『髪の毛伸びたな‥‥。』
「‥本当は長いのが好きなんです‥。」
服だって女の子らしいのがずっと
着たかったんだ‥‥
病室でパジャマばかりの生活をして
いたけど、皐月が着る可愛い服にいつも
憧れていたから。
それでも皐月の人生を奪ったことで、
私は可愛いものを着ることはなく
生きないとと言い聞かせていたのかも
しれない
『よく似合ってるよ。』
酒向さん‥‥‥
どう答えていいか分からず、それ以上
話せずにいると、カフェには入らず、
飲み物をテイクアウトした酒向さんが、
見晴らしのいい高台に車で連れて行って
くれた。
『はい、新名の。
熱いから気をつけてね。』
「ありがとうございます‥‥あの‥
本当にカフェでゆっくりされなくて
良かったんですか?」
温かいソイラテを受け取ると、
車のエンジンを切った酒向さんが
一度車を降りた後、後部座席を開け
何かを手に持ちまた運転席に戻ってきた
本当に良かったのかな‥‥‥
3時間近く待たせてしまったから、
疲れてるはずなのに‥‥
『新名、誕生日おめでとう。』
えっ?
差し出された白い四角の箱に目を向けて
から酒向さんを見ると、私の大好きな
優しい顔をしてるから一気に目頭が熱く
なり瞳が滲んだ
『フッ‥‥泣かないで‥』
「‥‥‥ッ‥‥すみませ‥」
酷い別れ方をしてあんなに傷付けたのに
昨年小さなケーキ屋さんの前で約束した
事を思い出してしまい泣きたくないのに
どうしようもなく涙がどんどん溢れる
『(来年はホールケーキを買って
お祝いできるな‥‥)』
そう言ってくれた時の酒向さんが
脳裏に蘇り、ハンカチで何度も目元を
グッと押さえた
時間が経過しても尚、私のことを
思い出して、こんなサプライズをして
くれるなんて‥‥‥
『新名‥‥少し話をしてもいいかい?』
工房のドアが開き、凪が私に手を振った
‥‥‥凪‥‥行ってくるね。
離れてるから見えてるか分からないけど
笑顔で控えめに手を振ると口パクで
凪が何かを言った気がした
『‥‥新名行くよ。』
「えっ?あ‥‥は、はい。」
ジッとこちらを見ている凪を車内から
見ながらもう一度手を振った
最後に酒向さんの車に乗ったのは
いつだっただろうか‥‥
沢山回数をなったわけではないけれど、
初めて乗った日のことは何故かとても
よく覚えている
『髪の毛伸びたな‥‥。』
「‥本当は長いのが好きなんです‥。」
服だって女の子らしいのがずっと
着たかったんだ‥‥
病室でパジャマばかりの生活をして
いたけど、皐月が着る可愛い服にいつも
憧れていたから。
それでも皐月の人生を奪ったことで、
私は可愛いものを着ることはなく
生きないとと言い聞かせていたのかも
しれない
『よく似合ってるよ。』
酒向さん‥‥‥
どう答えていいか分からず、それ以上
話せずにいると、カフェには入らず、
飲み物をテイクアウトした酒向さんが、
見晴らしのいい高台に車で連れて行って
くれた。
『はい、新名の。
熱いから気をつけてね。』
「ありがとうございます‥‥あの‥
本当にカフェでゆっくりされなくて
良かったんですか?」
温かいソイラテを受け取ると、
車のエンジンを切った酒向さんが
一度車を降りた後、後部座席を開け
何かを手に持ちまた運転席に戻ってきた
本当に良かったのかな‥‥‥
3時間近く待たせてしまったから、
疲れてるはずなのに‥‥
『新名、誕生日おめでとう。』
えっ?
差し出された白い四角の箱に目を向けて
から酒向さんを見ると、私の大好きな
優しい顔をしてるから一気に目頭が熱く
なり瞳が滲んだ
『フッ‥‥泣かないで‥』
「‥‥‥ッ‥‥すみませ‥」
酷い別れ方をしてあんなに傷付けたのに
昨年小さなケーキ屋さんの前で約束した
事を思い出してしまい泣きたくないのに
どうしようもなく涙がどんどん溢れる
『(来年はホールケーキを買って
お祝いできるな‥‥)』
そう言ってくれた時の酒向さんが
脳裏に蘇り、ハンカチで何度も目元を
グッと押さえた
時間が経過しても尚、私のことを
思い出して、こんなサプライズをして
くれるなんて‥‥‥
『新名‥‥少し話をしてもいいかい?』



