しかし……俺に普通に話し掛けてくれた。


本当は怖かったけど勇気出したとかそういうやつか?


休み時間になるとクラスメートの女子達が俺の隣りの席から姫野を遠ざけるように姫野を違う席に連れて行き、そこに人が集まった。

「姫野さん、転校初日からあんな席に当たっちゃって最悪だね…」

クソ…聞こえてんだよ…いつもいつも聞こえる声で噂しやがって…

「へ?最悪の席?」

「席変わろうか?」

「???」

「ちょっと!私が美羽と席離れちゃうじゃん!」

「私あそこの席で全然大丈夫だよ?前の学校の時一番後ろの席人気だったんだぁ」

普段聞き耳なんて立てる事なんてないのに姫野が話してるところが気になって仕方がない。


「なぁ、転校生ヤバいな…」

「めちゃくちゃ可愛い上におっぱいもデカいし!」

「それな!彼氏いんのかな?」

「あんな夢のつまったおっぱい放っておく奴…ヒッ!」


俺は姫野の胸の話で盛り上がる奴等を無意識に睨んでいて、そいつらは俺に気が付くとそそくさと教室を出て行った。


やべ……今年はこれ以上勘違いさせないようにするつもりが…


姫野の事気になってるのは俺だけじゃないし、俺が気になったところで何かあるわけじゃねぇのに姫野の事が気になって仕方がない。