早乙女くんがヒロイン!?



「………七海……ちょっと来い。話がある」

「あ………あ………はい」


ヤバい……ヤバい……!
キープしてる女の子には絶対見られたくないくらい震えが止まらない……。


俺も鍛えてるし、体は結構デカい方だけど早乙女の方が1.5倍くらいはデカくて圧が半端ない。


殴られて骨とかやったらどうしよう…クソ…姫野の事狙ったばかりに順調だった人生終わりそうだよ。


人気のない校舎裏へ着くと、早乙女はこっちを向いて俺を睨み付ける。


こうなったら……ここなら誰も見てない!


俺は土下座をした。


「ごめんなさいっ!!姫野が早乙女君の女だった事知らなかったんだ!!もう絶対姫野に近付きませんからっ!」

「……は?」


すると、早乙女の手がバッと前に出てきて俺は咄嗟に仰け反った。


「ヒッ」

「……これ。昨日の試合一緒に見に行った妹から……受け取ってやって欲しい」

「……?」

殴られるかと思っていたが、早乙女は俺の目の前に早乙女には似つかわしくない小学生女子が好きそうなウサギとクマのイラストがプリントされた封筒を差し出していて、俺は訳も分からずそれを受け取った。


「……なんつーか……昨日の試合すげぇ格好良かった……チケットもありがとな……」


早乙女はそれだけ目も合わせずに言うと、すぐにその場を立ち去って行った。