「姫野さんの席はあそこの角の空いてる席だ。困った事があれば先生や周りのクラスメートを頼るんだぞ」
「…はいっ」
ん……?
姫野がこっちに向かって歩いてくる。
って…隣りの席!?
姫野が横を通るとふわっと良い匂いがした。
姫野の方を見ないようにしていると姫野から視線を感じる…
まさか…ただいるだけで怖がられる俺を見てるわけないよな?
チラッと姫野の方を見ると思いっきり目が合った。
目が合うと姫野はふわっとめちゃくちゃ可愛い笑顔を俺に向けた。
え…?俺に微笑んでるのか?
女子と目が合った時にこんな反応された事がなくてかなり動揺する。
「…あの…隣りの席、よろしくお願いします…」
「………あぁ」
挨拶してくれてんのに何て最悪な返ししてんだよ!俺は!!ちゃんと宜しくしろよ!
長い事クラスメートに話し掛けられた事なんか無かったせいでこういう時どう返事をすればいいかわからねぇ……っつーか、まだこっち見てる…
「姫野さん!私、速水雫(はやみ しずく)っていいます!何か分からない事とかあったら気軽に聞いてね!」
「ありがとう…雫ちゃん?って呼んでも良いかなぁ?」
「うん!もちろん!嬉しい!私も美羽って名前で呼ばせてー」
姫野の前の席の女子が姫野に話し掛けていて俺から気が逸れて助かった…



