「そちらの可愛いお嬢さんはもしかして海麗の…?」

「クラスメートの姫野」

俺は急いで父さんの言葉に被せるようにそう言った。

「こんばんは…弟と二人でお世話になります!」


姫野と遥斗とありすは後ろの座席に座って、俺は助手席に乗り込んだ。


「海麗、今日は楽しかったみたいだね」


父さんはにこにこしながらそう言った。

「は?なんで?」

「楽しい顔してるから分かるよ」

「楽しい顔ってなんだよ…別に…いつもと同じ顔だろ」


そういえば今日は一回も誘拐犯とか脅してるとか勘違いされる事無かったな。


いや、流石に女子供三人だから割合的にそう思われなかっただけか。


姫野の家に着いて二人と別れると何となく別れが惜しく感じてしまった。



……俺が姫野の事好きになるなんて図々し過ぎるよな。